★☆★【地理B】大学入学共通テスト 解答速報 | 東進ハイスクール 柏校 大学受験の予備校・塾|千葉県

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2023年 1月 14日 ★☆★【地理B】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

 

【全体概観】

第4問の地誌で、インド・中国2カ国を広域的に取り上げる問題が復活した。

分量
前年と同じ。大問数は5題である。設問数は30、マーク数は31である。
形式
組合せ式問題のマーク数は18で、前年より1つ減ったが全体の6割を占める。2021・22年度に出題された8択式は出題されなかった。図表選択式問題のマーク数が8と前年より増加したが、うち2つは5地域から2つを選ぶ形式であった。
図版(図、表、写真、資料※)の点数は38で、前年より1つ減ったものの、多用の傾向は続いている。 
※ 図表・写真や短文などを組み合わせた複合的な図版。

構成
各大問の分野構成は過去2年と同様で、第1問は自然環境と自然災害、第2問は産業分野、第3問は都市と人口、第4問は地誌、第5問は地域調査である。

内容
第1問
世界の自然環境や自然災害について出題された。知識で処理できる設問は少なく、高い考察力を必要とする。なかでも、時間的・空間的スケールから現象を判別させる問1は新傾向である。問2・問3・問5なども、初見の受験生を苦しめたであろう。

第2問
資源と産業に関する大問である。問1を除いて、統計データの読み取りが決め手となる設問が並んだ。遺伝子組み換え作物を題材とした問3では、注意深い正誤判定が求められる。

第3問
都市と人口に関する大問である。例年と異なり、日本に限定した出題となった。標準的なレベルの設問が中心であるが、第2問と同様に統計の処理が重要となる。問5では「従属人口指数」の意味を的確に読み取って判断する必要がある。

第4問
地誌の大問では、インドと中国が取り上げられた。比較地誌というよりも、2か国を広域的に扱ったユニークな問題である。問2では、グループ設定基準の意味が分かれば、主要な稲作地域・小麦地域の分布から判断できる。

第5問
利根川下流域を題材とした地域調査の問題である(地理A第5問と共通)。常識的に処理できる問題が多く含まれるが、会話文の分量や資料点数が多いうえ、やや深い考察を必要とする設問も目立つため、落ち着いて対応できたかが分かれ目となった。


【設問別分析】

【第1問】世界の自然環境と自然災害

知識で処理しうる設問は少なく、高い考察力を必要とする。なかでも、時間的・空間的スケールから現象を判別させる問1は新傾向である。問2・問3・問5なども、初見の受験生を苦しめたであろう。

問1 時間スケールだけでも判別可能。モンスーン=季節風だから、数カ月間の事象。
問2 サンゴ礁は、温暖で透明度高い海域。海流は北半球で時計回り、南半球でその逆。
問3 南半球パースは1月が夏、亜寒帯ヤクーツクは年較差大、高山ラパスは常春。
問4 Jは変動帯=プレート境界周辺に、Kはハリケーン来襲する北米南東岸に対応。
問5 沈み込み帯に沿った深震源と、地殻内部の浅震源。Rは2つの沈み込み帯を横断。
問6 短時間に内水氾濫が生じる都市型水害の特徴を想起。人工被覆との関係が重要。


【第2問】資源と産業

問1を除いて、統計データの読み取りが決め手となる設問が並んだ。基本的な知識を十分に活用して考察したい。遺伝子組み換え作物を題材とした問3では、注意深い正誤判定が求められる。

問1 中世に発達した三圃式農業の圃場。短冊状の分割は農民ごとの割り当てを示す。
問2 東アジアの水田耕作は灌漑が前提のうえ、二期作などの集約的農業により単収大。
問3 上位5か国にはインドが含まれる。EU諸国は遺伝子組み換え作物の規制厳格。
問4 生産量ではなく輸出比であることに注意。水牛を含むためインドも牛肉輸出国。
問5 ポルトガルは陸路ではスペインのみ隣接。フランスはエアバス社の航空機輸出国。
問6 大市場の米国、市場の小さいカナダとも森林資源が豊富なためパルプ割合が高い。


【第3問】日本の都市と人口

例年と異なり、日本に限定した出題となった。標準的なレベルの設問が中心であるが、第2問と同様に統計の処理が重要となる。問5では「従属人口指数」の意味を的確に読み取って判断する必要がある。

問1 この期間に東京一極集中が強まる。四国は関西と結合。遠隔の九州は東京へ。
問2 地価はバブル期に急騰、のち暴落。産業空洞化で町工場は海外移転。街は高層化。
問3 駅前中心部Dは空洞化、周囲が農地のEは宅地開発、Fは郊外の幹線道路沿い。
問4 地方圏では人口全体が減少しており、高齢化率が上がっても老年人口は増えない。
問5 従属人口指数が低い=生産年齢人口の割合高い=高度経済成長の条件。
問6 ポーランドのEU加盟は2004年だから、西側諸国への移住はその後。


【第4問】インドと中国

センター試験時代、中国地誌は2017年、2020年(比較地誌の一方)など、インド地誌は2008年、2016年(比較地誌の一方)などで出題されている。本問は、比較地誌というよりも、2か国を広域的に扱ったユニークな問題である。問2では、グループ設定基準の意味が分かれば、主要な稲作地域・小麦地域の分布から判断できる。

問1 やや難。森林割合が決め手になるが、Cだけでなく、4地域とも判定する習慣を。
問2 アは稲作=華南・東北やインド東岸、ウは小麦地帯=華北やパンジャブ地方など。
問3 インド政府による家族計画プログラムは、不妊手術などが国民の反発に合い失敗。
問4 工業化は中国先行、農業割合高いインドではICT関連産業の発達で通信業が成長。
問5 移民=労働力は途上国から先進国へ、オーストラリアの資源は工業国・中国へ。
問6 Sではシベリア内陸から海洋へ吹く季節風の影響。土壌はほとんど移動しない。


【第5問】地域調査(利根川下流域周辺)

地理A第5問と共通の問題だが、過去問と比べると利根川下流域という舞台設定はユニーク。常識的に処理できる問題が多く含まれるが、会話文の分量や資料点数が多いうえ、やや深い考察を必要とする設問も目立つため、落ち着いて対応できたかが分かれ目となった。

問1 Aから下流に辿ると東京湾。取手-佐原間は約40km=40000m、1万分の1は?
問2 Fは交通の便が良く、中心地機能が高いため、建物が密集しているであろう。
問3 aは鉄道敷設後に発達。裁判所・税務署などはbに集中。道路交通は利便性重視。
問4 「利根川の支流への逆流」を防ぐ場所を考える。低平な下流域では決壊が怖い。
問5 近年、中国産などの輸入が急増。天然の鰻には海から遡るための魚道が必要。
問6 常識的に処理しやすいタイプだが、やや悩ましい。目的と手段の関係に留意。


【新高3生へ】

◆共通テスト地理Bの特徴
 2021年から始まった共通テスト地理Bですが、これまで3年間の出題傾向を端的にまとめると、「知識の多少ではなく、分析し、考える力を重視している」ということになります。また、そのためにやや長い問題文を伴う設問や、複雑な組み合わせ式の設問が多くなっています。例えば、ある地点の気候グラフを題材とする場合、従来のような「A地点のグラフはどれか」といった単純な形式ではなく、「A・B2地点のグラフとして、それぞれX・Yが選ばれる理由を述べた文の正しい組合せはどれか」と問われるのです。各地点の気候区分を暗記していても解けません。気候の成り立ちを理解する必要があります。また、込み入った構成の問題内容を短時間で処理する手際の良さも欠かせません。
 なお、共通テストは2025年から新課程テストに移行し、「地理総合、地理探究」および「地理総合、歴史総合、公共(うち2科目選択)」が実施されます。ただし、新高3生が浪人を決断した場合、25年に限り経過措置として「旧地理B」での受験が可能となります。
共通テスト地理Bの出題のポイントは、以下のように考えられます。
① 地理に関わることがらを題材にして、
② ことがらの持つ意味や役割、ことがらどうしの対比・関連づけ、ことがらに潜む問題点などを考えながら見抜く力や、
③ 知識の活用や資料の分析によって、「地理的な見方や考え方」を順序よく働かせる力を試す

実際の出題内容としては、おもに系統地理(自然環境・産業・社会などのテーマ別学習)の各分野がまんべんなく扱われています。また、世界地誌(大陸・国ごとの地域別学習)の大問は5問中1問だけですが、世界の国や地域に関する設問が他の大問中にバランス良く配置されています。いずれも知識(用語や地名)そのものを問うことは少なく、地図や写真、統計など各種資料の読み取りと関連付けた出題が多くなっています。ほとんどの設問に資料が与えられています。

共通テストでは、「情報処理、思考、判断」の能力を試す傾向がはっきりしており、加えて地理的な事象を多面的・多角的に考察した過程や結果を、理由や根拠に基づいてまとめることができる「表現力」も重視されています。記述式設問はありませんが、その代わりにさまざまな「場面設定」※が工夫されており、「実際にその場面にいたら、どう読み取り、どう考察し、どう表現するか」を考えさせようとしています。
したがって、地理的思考力や資料の読み取り技能を重視した問題の割合が多く、その結果、複数の判定を組合せた形式の設問が中心となっているのです。用語や地名を詰め込むだけの学習では対応できません。

※ 場面設定として、以下の例が想定されます。
①  地理的な課題を探究し、その解決や将来を展望する場面
②  資料から事象を読み取り、地域の変容や構造を考察し、地域的特色などを説明する場面
③  新たな課題を設定し,情報の収集,整理・分析を行う場面


◆思考力が大事
 丸暗記に終始するような詰め込み学習では対応できません。「地理は暗記科目」と考えられがちですが、共通テストの地理Bでは思考力がものをいいます。地理的な事象について「なぜそうなるか」を十分に理解した上で、「使える(=応用できる)基本的な知識」をこつこつ積み上げましょう。知識がネットワーク化すれば、1つの理解が2つにも3つにも応用できるようになります。もちろん、知識重視タイプの問題もゼロではありません。自然環境、産業、集落といった系統地理だけでなく、世界地誌の準備も早めにスタートすることで、情報量の面での遅れを招かないようにしたいものです。このような場面では、一問一答形式の問題集なども役に立つでしょう。


◆資料問題に強くなろう
 共通テストにおける地理Bの顕著な特徴は、地図や図表、写真などの資料を使った出題の割合が高いことです。これらを読み取り、利用する技能が求められているのです。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。教科書や資料集を用いて、主題図(テーマのある地図)や写真などに見慣れておくことも重要です。また、統計についても、順位、数値の暗記ではなく、統計の背後にある地理的要因を読み取る意識で、最新の統計をこまめにチェックするようにしましょう。また、地歴連携の重視から、歴史的背景や経緯を問う出題がみられるようになっています。

◆独特な出題形式に慣れておこう
独特な出題形式への慣れも欠かせません。組合せ式問題などがその典型です。問題の質や量と試験時間(60分)を見比べると、決して時間的な余裕はありません。過去問演習(センター試験も含む)や共通テスト試行問題などの演習はもちろんですが、東進の共通テスト本番レベル模試を定期的に受験して、
(1)頻出項目をマスターし、最新の傾向をつかむ
(2)出題形式に慣れ、時間配分をトレーニングする
(3)解説を利用して、「どうしてそうなるのか」の考え方を鍛える
といった点の強化に利用してください。

【新高2生へ】

◆「地理B」という科目の特徴

 先に新高3生(地理B)へのアドバイスを読んでみてください。なかなか大変なメニューが並んでいますね。
 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。共通テストは、2025年から新課程テストに移行し、「地理総合、地理探究」および「地理総合、歴史総合、公共(うち2科目選択)」が実施されます。すでに大学入試センターから試作問題が公表されていますが、例えば「地理総合、地理探究」については、地理探究と似た現行の「地理B」の内容に、「防災」など地理総合の特徴的単元を組み合わせた構成となっています。よって、上記の試作問題だけでなく、2021〜23年の「地理B」の問題や2020年までのセンター試験の出題も十分に参考になります。過去問等で傾向をつかみ、模試で実力を測って弱点を補強する、受験生としてはそんな真っ当な対策を立てたいですね。
 しかし、過去問の演習にせよ、模試の受験にせよ、ひと通りの学習を済ませて、ある程度の実力をつけてからでなければ意味をなしません。「実力をつけてから」にこだわりすぎても時機を失しますが、準備ゼロでは「敵を知る」ことも「己を知る」ことも叶いません。高3になってから正しい対策を迷うことなく進めるためには、それなりの布石というものが必要です。

◆今のうちにやっておきたいこと
 (1)一通りのことが書かれた本を読んで、地理という科目の「雰囲気」をつかんでおきます。いきなり教科書では難しいでしょうから、『山岡の地理B教室』(東進ブックス)のような入門書を利用してください。中学校で使った「地理的分野」の教科書も良いでしょう。中1当時の皆さんはまだ小学生の延長のようなものでした。だから、いま読むと「ああそういうことか」と納得できることが多いはずです。納得したことは頭に残りやすいのです。
 特に気候環境、人口、都市など、他の項目との関連が深い分野、理屈が重視される分野はていねいに見ておいてください。

 (2)地図帳に慣れておきます。地理における地図帳は、英語における辞書のような存在です。各地方の並び順、地図上のさまざまな約束、索引の使い方、などを体で覚えておきましょう。知らない地名が出てくるたびに地図帳を開く習慣をつけてください。どんどん書き込んだり、付箋をつけたりするのもGOODです。

 (3)できれば、さまざまなメディアも利用しましょう。TVの特集、クイズ番組、ニュースなどや、新聞の国際面の記事、インターネットで得られる情報などです。すべてが直接の試験対策になるわけではありませんが、世界各地に関する見識が広がることで、地誌学習が楽に進められるはずです。
 例えば、代表的な動画投稿サイトで「フィヨルド」と検索してみてください。数多くの映像によって、北欧ノルウェーなどの氷河によって形成された雄大な景観を実感できるはずです。味気ない教科書の本文が立体的に浮かび上がってきます。スマホでタブレットでも、せっかくのICT(情報通信技術)環境を有効に活用してください。

 そして、最も大切なのは「地理は暗記科目ではなく、考える科目である」としっかり理解しておくことです。はじめはピンとこないでしょうが、上のような対策に続けて実際に問題演習を始めると、「考える科目」であることを実感できるはずです。皆さんに期待しています。