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校舎からのお知らせ

2023年 1月 14日 ★☆★【倫理】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


【全体概観】

出題形式・分量ともに昨年とほぼ同様。

大問は4題、マーク数は33で、昨年と同じであった。また昨年と同じく、従来存在した大問冒頭のリード文がなくなり、大問の導入はすべて会話文の形式であった。昨年はセンター試験型の短文4択正誤問題が15題あったが、今回は7題に減った。その他、正誤組合せ問題で8択の形式が復活した(2018年以降は4択または6択)。出題内容では、例年と比べて目新しいものは少なかったが、西田幾多郎の絶対矛盾的自己同一が初めて問われたほか、シェリングの文章が素材として初めて扱われ(知識は不要)、一度だけ問われたことのあるマッキンタイアの名を挙げつつ、その説明がドゥルーズ(初出題)になっている設問が出た。また倫理としては初めてモノカルチャー経済についての知識が問われた。全体に、会話文の読解が例年よりやや難しかった。

 


【設問別分析】

【第1問】源流思想
 生徒の会話文と資料をもとにした大問。これまでの共通テストの形式を踏襲し、出題内容もほぼオーソドックスなものばかりであった。ただ問4では、2017年センター試験を最後になくなっていた8択の正誤組合せ問題が出題された。わずかとはいえ正答率を引き下げる要因にはなるだろう。問われた内容としてもアートマンの正しい理解を必要としており、やや難しい。なお、問5のパウロの資料問題は2021年にほぼ同趣旨の問題があり、過去問を研究していれば容易に対処できた。

【第2問】日本思想
 昨年、一昨年と同様に3パートに分割され、古代・中世、近世、近現代について会話文をもとに設問が設けられた。問2はセンター試験型の単純な4択問題であったが、イザナミとイザナミの国生み、天つ神、「祀るとともに祀られる神」、スサノヲの誓約に関する突っ込んだ内容が問われたので、難しい。また問3は、これまでの共通テストでみられた資料をもとにした空欄補充だが、従来2箇所だった空欄が3箇所になっているので、難しくなっている。西田哲学はそもそも難しいものだが、今回初めて絶対矛盾的自己同一が出題され、受験生は戸惑ったと思われる。

【第3問】西洋近現代思想
 難しい資料読解問題がなく、その他の設問でも比較的平易な標準的な事項が多く問われた。ただ、出題頻度の高まっているレヴィナスについての問6は、選択肢のすべてでキーワード「顔」を用いており、判断の難しい問題となっていた。あとはパスカルについての問5でやや細かい知識が問われたほか、初めてシェリングの文章が素材として扱われた点が注目できるが、問題としては難しくなかった。

【第4問】青年期・現代社会分野
 例年、目新しい事項の出題が目立つ分野だが、今回は比較的保守的な出題であった。問4ではセンの「潜在能力」についての正確な理解が求められたほか、倫理として初めてモノカルチャー経済についての理解が問われたので、正答率は低かったであろう。また問8はマッキンタイアとドゥルーズの二人についての知識がないと正誤判断できない。


【新高3生へ】

公民科目を甘く見ないこと
公民科目の選択者には、社会科の中では世界史や日本史と比べて負担が小さいだろうからという消極的な理由で選択する人が少なくありません。たしかに学ばなければならない情報量だけをみれば、世界史や日本史よりも公民科目のほうが少ないです。とはいえ、世界史や日本史を選択する受験生のほとんどは高校1年生あたりから一通り学んだうえで受験対策をしているのに対し、公民科目の選択者の場合は、受験準備期間がきわめて短く、しかも独学の割合が多いという特徴もあります。つまり習得すべき情報量の少なさというメリットは、学習に当てられる時間の短さというデメリットでかなり相殺されてしまうのです。甘く見ていては痛い目にあうでしょう。

倫理は特殊な科目
他の社会科科目と比べて、また政治・経済や現代社会と比べても、倫理は特殊な科目です。というのも、人名や著作名といった断片的な知識だけで対処できる問題はきわめて少ないからです。そこで主に求められるのは、古今東西の思想家たちが長い時間をかけて取り組んできた思想的課題についての理解です。これは単語を暗記するような学習では、とうてい習得できない事柄です。思想家の名前を暗記できないなどとこぼしているようでは、倫理攻略の入り口にも立っていないと言わざるを得ません。それなりの時間をかけなければ身につくものではありません。まずは腰を据えて教科書をじっくりと読みましょう。それから用語集をこまめに引きながら、一つ一つの概念について深く理解してください。

問題演習が成否を分ける
ひと通りの学習が済んだら、あとは問題演習あるのみです。なかなか点が伸びないと訴える受験生に話を聞くと、ほとんどは圧倒的に問題演習が不足しています。倫理では、思想の理解においてありがちな誤解をしていないかという点を確認する形の誤文が多いです。したがって、そうした「誤解」をつぶすために、実際の過去問にあたって、誤文の誤文たるゆえんをひとつひとつ理解していく作業が大切になります。過去問の少ない共通テスト対策として、年間6回実施される「東進の共通テスト本番レベル模試」は、年間を通して共通テストと同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。定期的な受験により、自らの学習到達度を測る物差しともなります。積極的に受験して、ライバルに差をつけてください。

【新高2生へ】

新課程・「公共、倫理」とは
 皆さんは、いよいよ始まる新課程での共通テストを受験する最初の学年ということになります。まったく過去問の存在しない状態での受験に不安感も多いかもしれません。新課程入試の「公共、倫理」は、これまでの「倫理」に加えて「公共」にも取り組まなければなりません。その内容は、教科書および2022年の試作問題から判断するに、おおむねこれまでの「現代社会」と同様のものとなりそうです。出題形式としては、これまでの旧課程「共通テスト」を踏襲するものになるでしょう。大きな方向性としては、知識よりは思考力重視というものになることでしょう。

学習の進め方
 「公共」では、広く社会のあり方について問われることになります。いまの段階では、細かい出題傾向や解法上のテクニックのようなことはあまり意識することなく、テレビの報道番組や新聞などにできるだけ気を配るようにするといいでしょう。ネット上でも政治・経済・社会について様々な情報や意見が飛び交っていますが、匿名掲示板サイトや動画サイトなどでは、事実無根のデマや無責任な放言も多いので、そうしたものに惑わされないようにすることも大切です。あとは学校教科書をよく読み、用語集などで主体的に調べていく姿勢も大切です。政治についても経済についても、正解のない問題について考える姿勢が求められますが、まずは事実をよく確認するという姿勢を何より大事にしたいところです。「倫理」では、古今東西の哲学や宗教などの様々な思想を扱うほか、青年期の問題や心理学、現代社会の課題と特質といった広範な主題について学びます。これらに共通するのは、私たちがどのような時代に生きており、どのように生きるべきなのかという大きなテーマです。したがって、倫理という科目は受験科目であると同時に、大人になる前に誰もが深く考えておくべきテーマについて検討する機会を与えてくれる科目でもあります。いまの段階では、各種の新書などの若者向け哲学入門のような本を読むことをおすすめします。