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校舎からのお知らせ

2023年 1月 14日 ★☆★【国語】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


【全体概観】

昨年から大問数は変化なし。設問数は2つ、マーク数は1つ増えた。第1問の評論。昨年に続き二つの文章を読ませる複数テクスト型の出題であった。第2問の小説は戦後初期の小説。問7は広告を掲載した説明的な資料を用いた新傾向の設問。第3問の古文は歌論『俊頼髄脳』。歌論の出題は2018年度センター試験『石上私淑言』以来5年ぶり。第4問の漢文は白居易の『白氏文集』からの出題であった。

大問数4題、各大問の配点50点。大問数は変化なし。設問数は2つ、マーク数は1つ増えた。

 第1問の評論では、ル・コルビュジエの建築における窓について異なる観点から論じた二種類の文章が【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】という形式で出題された。この形式は昨年同様。【文章Ⅰ】、【文章Ⅱ】ともに引用文が含まれており、【文章Ⅱ】には写真が含まれていた。問1の漢字問題では昨年の傾向が踏襲された。問2、問3、問4は【文章Ⅰ】から、問5は【文章Ⅱ】からの出題(傍線部問題)、問6は【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の関連を問う問題。生徒の発言の途中に空欄(X・Y・Z)が設けられ、空欄に入る発言を選ばせる形式であった。

 第2問の小説は、戦後派の梅崎春生「飢えの季節」からの出題で、引用箇所の字数は昨年より多く、設問数は2問増えた。問1~6は「私」の心情などを問うオーソドックスな設問で、まぎらわしいものも含まれている。問7は雑誌広告とそれについての説明文を掲載し、その資料による構想と考察から空欄補充の設問が用意されているが、広告という視覚的材料に目を奪われないように注意したい。

 第3問の古文の出典は歌論『俊頼髄脳』。本文は一つで、問4に『散木奇歌集』から和歌と詞書が引かれている。歌論の出題は2018年度センター試験『石上私淑言』以来。本文が一つで、設問に和歌の引用があるのは、2021年度第1日程や昨年度追試験と同じ。教師や生徒の発言に関する空欄補充問題の出題や、設問数が4つであることは昨年度本試験と同じ。語句と表現に関する問題、広い範囲に関する合致問題の出題は共通テストになって毎年度出題されているものである。

 第4問の漢文は著名な出典である『白氏文集』から白居易自身による、官吏登用試験の[予想問題]と[模擬答案]の組み合わせという珍しい形が出題された。語の意味、解釈、返り点の付け方と書き下し文の組み合わせ、内容説明など、例年の定番の出題に加え、比喩、空欄補入などが出題された。設問数7、マーク数9は昨年と同じであった。

難易度は国語全体としては、昨年並み。


【設問別分析】

【第1問】現代文(評論):柏木博『視覚の生命力―イメージの復権』、呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画―二〇世紀モダニズムの道程』 やや難
問1の漢字問題は、昨年同様、傍線部の漢字と同じ漢字を含むものを選ぶ問題が3題、傍線部の漢字(「行」・「望」)と同じ意味で用いられている熟語を選ぶ問題が2題出題された。問2は病床の正岡子規にとっての、ガラス障子越しに外の景色を眺めることの意味を問う問題。選択肢①がやや紛らわしい。問3はガラス障子が「視覚装置」だといえる理由を問う問題。問4は「ル・コルビュジエの窓」の特徴と効果を問う問題。問5は壁がもたらす「風景の観照の空間的構造化」によって住宅がどのような空間になるのかを問う問題。傍線部の表現は難解だが、直後で「この動かぬ視点」と言い換えられていることに着目できれば正解は自ずと決まる。問6は【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を読んだ後の「話し合いの様子」が示され、そこに設けられた三つの空欄に入る適切な発言を選ばせる問題だった。(ⅱ)の正解はやや選びづらい。

【第2問】現代文(小説):梅崎春生「飢えの季節」 昨年並み
問1は主人公の心情を問う設問で、傍線部前後の内容から容易に判断できる。問2も傍線部の前の「思えば戦争中~慈善事業である筈がなかった」をふまえれば比較的簡単に解ける。問3は会話部分の心理を問う設問で微妙な選択肢が並んでいるが、老爺に対する憎しみではない点から、②か⑤にしぼられる。「自分へのいらだち」ともいえないことから⑤になる。問4は傍線部冒頭の「それを」が「おそろしい結末」を指しているが、その結末の内容は明らかにされていないため、①が最適となる。問5は①以外の選択肢の末尾がいずれも過剰な感情が示されている点で誤りとなる。問6は比較的容易に解ける。問7は【資料】とそれに基づく【構想メモ】に基づく【文章】の空欄補充問題。(ⅰ)は③と間違いやすいが、「焼けビル」自体は「検討の精神」と無関係。(ⅱ)は電球もビルも変化していないことから②だとわかる。

【第3問】古文:源俊頼『俊頼髄脳』『散木奇歌集』 やや易
問1は本年も解釈の問題。(ア)の「やうやう」(イ)の「ことごとし」は重要古語。(ウ)の「かへすがへす」は現代でも使う語。問2の語句や表現の問題は共通テストになって毎年度出題されている問題。本年は全ての選択肢が文法や敬語に関係するものだった。問3は1〜3段落に関する説明問題。広い範囲に関する合致問題も共通テストでは毎年度出題されている。⑤は3段落2行目に合致。問4の教師や生徒の発言に関する空欄補充問題は昨年度に続く出題。設問が問4までで、小問三つに分かれているのも昨年と同じ。(ⅰ)は前句の解釈で正解できる。(ⅱ)(ⅲ)は本文に書かれていないことや判断の根拠が不明確なものを消去して考える。

【第4問】漢文:白居易『白氏文集』 やや易
形式上は、官吏登用試験の[予想問題]とその[模擬答案]の組み合わせというものであったが、内容的には標準的な文章といえる。問1は「由(よし)無き」「以為(おもへらく)」「弁ず」の語の意味の問題。問2は解釈、問3は返り点の付け方と書き下し文の組み合わせ問題。問6、7の全体に関わる内容説明問題など、例年の傾向に加え、問4で比喩の問題、問5で空欄補充問題が出題された。


【新高3生へ】

みなさんが来年受験する大学入学共通テストでは、複数素材(文章・条文・グラフ・表・図・写真・会話など)から問題が出される可能性があります。複数の素材を読解して設問を解くわけですから、時間制約の厳しい試験になるかもしれません。今年度は、大学入学共通テスト3年目となりました。共通テスト4期生のみなさんが解くのは、今までとは異なる素材が組み合わされた問題の可能性もあります。素材の組み合わせが変われば、印象は違ったものになるかもしれません。試験本番でどのようなタイプの問題にも対応できるよう、できるだけ多くの問題演習に取り組みましょう。ただし手に入る「共通テスト型」の問題は試行調査の問題を含めてもあまり多くないかもしれません。東進で2カ月に1度実施される共通テスト型の模試などをうまく利用してください。いろいろなパターンに数多く触れることが大切なので、力がついてから模試を受験しようという考えではなく、可能な限り、受験するようにしましょう。

 そして、複数素材の問題に慣れることよりも、もっと重要なことがあります。それは、「国語学習の基本は読解力をつけること」であるということです。
どんな出題であっても、「書かれている内容を理解し、設問要求に合致する選択肢を選ぶ」という国語の読解の基本姿勢は変わりません。また、特に古文・漢文においては、身につけなければ読むことすらできない知識(古文単語・文法力、漢文重要漢字・句法力)があります。これらをきちんと身につけ、読解に生かせるようにし、演習を積み重ねていくことが重要となります。

 また、みなさんの先輩が受験していた、センター試験の問題は良質なものが多く、最良の演習素材です。基本的な読解力を身につけたら、センター試験の過去問で読解力を鍛えることも良い訓練になるでしょう。現代文2題・古文1題・漢文1題の4題を80分で解く練習に加えて、模擬試験で複数素材の問題への対応力を付けていけば、どんなタイプの出題となったとしても、あわてることはありません。大学入学共通テストまであと1年、次のアドバイスを参考にして、計画的に勉強を進めていきましょう。

■現代文
 第1問では「論理的な文章」「実用的な文章」、またはこれらの文章を組み合わせた複数素材で出題される見込みです。抽象度が高く、論理力思考力が問われたセンター試験の過去問も利用しながら読解力・論理的思考力を鍛え、共通テスト型問題の模擬試験を活用して複数素材の問題への対応力を高めましょう。また、漢字・語彙といった知識事項に自信が無い人はこれらを固めることが先決です。漢字力・語彙力は、単に漢字問題や語彙問題で点を取ることにとどまらず、読解力を根本から支えるものになります。早い段階で漢字と語句の問題集を1冊ずつ仕上げ、それを文章読解の中で活用していきましょう。

 また、速く読み解く力を身に付けるためには、設問に先に目を通して問われることを予め理解しておき、本文を読みつつ問題がきたら解くという読解法(「読みつつ解く」)を日頃からトレーニングしておくのも一つの方法です。また、複数素材がある場合、それらをどの程度読み込む必要があるかなど(例えば、長い法律の条文があるが、設問からすると一部のポイントだけを理解すればよいなど)の判断も重要になってきます。そして、本文を読み進めるときはただ目で文字を追うのではなく、キーワードや筆者の主張に線を引く、関連資料のポイントに印をつけておくなど手を動かすことで解答の根拠をすばやく見つけられるように学習を進めていきましょう。

 第2問は、「文学的な文章」からの出題となります。試行調査の第1回では、小説とそれを元にした小説の組み合わせの問題、第2回では、詩とエッセイの組み合わせ問題が出題され、一昨年の共通テストでは、小説と、その小説に関する批評文(設問中)を含んだ問題、昨年の共通テストでは小説中の語句を歳時記や関連する俳句などと結び付け、より深い理解へと誘導する問題が出題されました。このように、「文学的な文章」においても複数素材の組み合わせでの出題が想定されますが、文学的な文章でも、本文を「客観的」に読むという読解法は同じです。感情移入をして主観的に読んでしまうと得点は安定しませんから、本文を客観的かつ正確に読み、事実関係と登場人物の心情をとらえ、選択肢を要素ごとに分けて丁寧に吟味する読解法を身につけていきましょう。また語句問題は「辞書的な意味」を答える必要があります。日頃から辞書を引く習慣をつけて語彙力を強化するとともに、詩・短歌・俳句の出題に備えて「国語便覧」などを読む習慣をつけましょう。なお、第2問では、文学評論が出題される可能性もあります。その場合は、論理的な文章の読解の仕方をベースに解きましょう。

■古文・漢文
 大学入学共通テストの古文(第3問)・漢文(第4問)の問題は、現代文に比べると旧来のセンター試験との違いは少ないようです。問題演習にセンター試験の過去問を積極的に利用しましょう。古文や漢文は知識・基本事項の比重が大きく、身につけた知識が点数に結び付きやすい科目です。古文であれば、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法を、漢文であれば、返り点・重要句法・漢字の用法や読み・重要語など、土台となる知識の定着度が大きなカギを握ります。これらをできるだけ早い時期にマスターすることが大切です。繰り返し確認をしながら、遅くとも夏休みが終わるまでに知識を定着させましょう。知識を身につけた後は、それを駆使してできるだけたくさんの問題を解き、解法の訓練を重ねること、そして、複数素材が問題文や設問文に入ってくる共通テスト型の問題演習を模試などを利用して数多く行うことが必要です。安定した土台の上に、正解を素早く判断できるように訓練を重ねることで、常に高得点をとる力を身に付けることができるようになります。

 夏以降は、解法と時間配分の訓練を繰り返して下さい。複数素材を扱った共通テスト対応型の模試は実戦演習に最適です。模試は、学習の進捗度・定着度を測定・認識するという意味で大変重要です。自分の学習進捗度合いが計画通りに進んでいるかを客観的に判断するためにも、「全国統一高校生テスト」を含めて隔月で年6回行われる「共通テスト本番レベル模試」を連続して受験していくことで、着実に実力をのばしていきましょう。

 

【新高2生へ】

大学入学共通テストの問題を解いてみた感想は、いかがでしたか?「国語はなんとかなる」と思っていた人は、ボリュームの多さに圧倒されたかもしれません。令和7年度の大学入学共通テストは国語の試験時間が10分延び、90分となります。また、近代以降の文章がいままでの2問から1問増えて3問110点に、古典が2問90点(古文・漢文各45点)となることが想定されています。

 大学入学共通テストは今まで以上に時間制約の厳しい試験になる可能性がありますが、ボリュームやイメージしていた国語の問題との違いに圧倒されたとしても、問題文を読み、内容を理解して設問に答えることには変わりがありません。国語力(読解力と語彙力)を鍛えつつ、与えられた課題を冷静に判断し、問題を解くために必要な情報を適切に読み取る力を養っていきましょう。読解力の定着にはある程度の時間が必要なので、他教科との学習バランスを考えてベースとなる国語力は高2生のうちに身につけましょう。

大学入学共通テストで高得点を取ることは志望校合格の必要条件です。次のアドバイスを参考にして、今から学力大幅アップに向けて、計画的に勉強をすすめていきましょう。


■現代文
 現代文で高得点をとるための大前提は、本文と設問文の正確な「読み」です。漢字や語句などの知識の習得は、高2の段階での大切な学習の一つです。単に表面的な知識を増やすのではなく、文章を読解していく中で、生きた形で語彙力をつけることを心がけてください。

 次に、速く読む訓練を積んでください。解答時間に余裕のない大学入学共通テストに対応するためには、一定以上の読解速度が必要です。これは一朝一夕には身につきません。早いうちから意識して速読する習慣をつけておいてください。また、「論理的な文章」と「文学的な文章」に得意不得意のある人は、安定した成績を取るためにも、早い時期に苦手な分野を集中して学習し、克服しておくようにしましょう。なお、大学入学共通テストは「実用的な文章」からも出題されますので、国語の勉強だけでなく、新聞やいろいろなジャンルの文章を読むことが結果的に試験対策にもつながります。積極的に読書の習慣を身につけましょう。

 また、模試や過去問などを解いた後は必ず復習する習慣をつけましょう。現代文を解きっぱなしにしていては実力はつきません。間違えた箇所の原因を知り、次に同じミスを繰り返さないようにしていくことで、次第に実力がアップしていきます。いずれにせよ、今まで現代文に対して正面から取り組んでいなかった人は、現代文に対する意識を改革してください。大学入試の現代文は、なんとなく解いていては高得点を取ることはできないません。きちんと対策を立てていく必要があるという認識を持つこと、そしてそのための基礎力をこの一年間で養成しましょう。

■古文・漢文
 まだまだ十分に時間はあるのですが、新高2生の諸君には、できるだけ早く「受験勉強としての古文・漢文」をスタートしてほしいと思います。学校の授業でやっているからOKではなく、「受験勉強としての古文・漢文」の意識を持つことが大切です。

 古文・漢文は、現代文に比べると、土台となる知識の比重が大きい科目です。古文であれば、用言の活用と助動詞・助詞を中心にした解釈のための古典文法、500語ほどの重要な古文単語、古典常識、敬語法などです。漢文であれば、返り点をたどりながら本文を読むスピードと書き下し文にできる訓読の力、使役・受身・反語・疑問・否定といった句法の力、漢字の読みや用法の知識などです。もちろん、これらの知識を蓄えることが最終目標ではなく、知識などを駆使して問題を解く力をつけることが最終的な目標です。知識の土台固めは反復して勉強する時間が必要ですので、早く始めた者が勝ちなのです。特に漢文は、「短期間で高得点が取れるようになる」科目ではありますが、それゆえ後回しにしておいて、結局最後まで点数が伸びないという受験生が少なからずいます。高2のうちに、早めに知識をマスターしてしまうつもりで始めましょう。問題演習はまだ焦る必要はありませんから、とにかくこの1年間は、受験勉強本格的始動のための土台固めと位置づけて下さい。

 大学入学共通テストに対する実戦的な対策としては、6月と10月に実施される「全国統一高校生テスト」があります。6月の「全国統一高校生テスト」では、令和7年の共通テストに対応した実用的文章を出題します。令和7年の共通テストの試作問題と同形式の問題が出された場合、実践的な訓練を通じて慣れていくことが大切になってきます。真剣に問題に取り組む模試の時間は、学力を伸ばす絶好の機会です。自分の現時点の力を知るためにも、学力を伸ばすためにも模擬試験は毎回欠かさず受験するようにしましょう。