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校舎からのお知らせ

2023年 1月 14日 ★☆★【日本史B】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

【全体概観】

8択など新傾向の設問がみられ、一方で、昨年度から引き続き史料を引用した設問が目立った

高校生による「探究」を想定した場面が6大問中5大問で設定され、生徒のメモや先生の説明、劇の台本を作成する会話などが素材として出題された。図・地図などの資料は減少したものの、史料を引用した問題が増加した。大問数6問・小問数32問は昨年度と同じで、全体的には、読解を必要としない設問も目立った。また今年度は会話文の形式をとる大問が4問(昨年度は3問)、メモを素材とした問題が2問(昨年度も2問)出題された。

(時代) 
昨年度の共通テスト日本史Bでは原始からの出題は見られなかったが、今年度は縄文時代や弥生時代を対象とした設問がみられた。また戦後については、今年度は1970年代までが対象とされた(昨年度は1980年代までが対象)。

(分野)
政治・社会経済・外交・文化とバランスよく出題されていたが、社会経済からの出題が目立ち、昨年度に比べ、文化史の割合がやや増加した。

(出題形式) 
年代整序の問題が昨年度の共通テスト日本史Bでは6題出題されたのに対し、今年度は第1問から第5問に1題ずつ、計5題出題された。また、昨年度見られた史料を並べ替える問題は出題されなかった。加えて、経済の動きを模式的にあらわした図を用いた問題、組合せを8つの選択肢から選ぶ問題、3人のそれぞれの発言の正誤を判断する問題が出題された。

(史料)
第1問では、仁和寺所蔵、金沢文庫所蔵の「日本図」、『常陸国風土記』、『日本書紀」(天武13年10月)、『続日本紀』(養老2年5月)、「元禄常陸国絵図」、第2問では、暦に関する『朝野群載』、「九条殿遺誡」、第3問では、酒屋の税額を示した山田邦和『京都都市史の研究』の資料、1500年の室町幕府の撰銭令『建武以来追加』、1485年の大内氏の撰銭令『大内氏掟書』、第4問では、1860年刊行の『安政文雅人名録』の一部、漂流した日本船が1751年に中国に漂着した件をまとめた『長崎実録大成』、第5問では、1884年『自由燈』9号掲載の岸田(中島)俊子の文章の一部、第6問では、1896年の長崎商業学校海外修学旅行生の上海体験記(『長商卒業生の生活と意見』)、1938年5月実施の大阪府女子師範学校修学旅行行程表(「子どもたちが見た満州」)、炭鉱就労者の出身地別・勤続年数別の比率の表(『鉱夫待遇事例』より)、山本作兵衛「入坑(母子)」、沖縄国際海洋博覧会に関する複数の新聞記事の見出し、が設問の素材として用いられた。

【設問別分析】

第1問 地図から考える日本の歴史
第1問では、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、空欄補充問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。第1問は昨年・一昨年同様、会話文形式での出題だった。特筆点として、史資料が計6点(史料3・資料3)用いられた点があげられ、3つの史料を読み取って正誤を判断する問題は複雑に感じられたのではないかと思われる。

問1 3つの史料の読解が求められた問題。選択肢と史料の該当部分をそれぞれ照らし合わせて解答を導きたい。誤文の選択肢は史料や史料の注釈から誤りと判断できる。注釈など問題文に示された情報は、選択肢の正誤を判断するヒントとされている可能性が高いと考えるべきである。

問2 中世における東アジアの出来事について述べた年代整序問題。IIが13世紀、Iが14世紀、IIIが15世紀、というように、時期が離れていたため、正答を導きやすかった。

問3 古代・中世の境界に対する意識について述べた2文正誤問題。「先生の説明」を熟読する作業さえ怠らなければ、X・Yの正誤は判断しやすかった。

問4 空欄に入る文の組合せを選択する問題。アは、地図の「酒寄村八百八十一石余」から判断できる。イは、「幕府が東蝦夷地を直轄地としたこと」の時期を特定できなくても、「ロシアとの間で国境が定められた」のは日露和親条約の締結(1854)によるものであることを想起すれば、消去法によって正答を選択することができたはずである。

問5 近代日本における測量や海図に関する事例について述べたX・Yの文と、それに該当するa・bの語句を選択する問題。明治時代の日朝関係に関わる情報や、大正時代の大戦景気など、基本的な情報を掌握していれば容易に対応できる問題だった。

問6 大問の全体像を把握できなければ対処しにくい問題。ヒントは会話文・地図や、問3の先生の説明の中にあった。共通テストでは、問題文だけでなく、各小問がヒントになるような形式の問題が出題されると考えておくべきである。


第2問 日本古代の陰陽道
第2問では、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。教科書に軸足を置いた学習によって解答可能な問題が多かったものの、2つの史料などに向き合う必要のある問4や、大問全体の把握を求める問5には、一定の時間を要したと思われる。

問1 陰陽道が成立する以前の、日本列島の信仰のあり方について述べた正誤問題。土偶や卑弥呼など、昨年はみられなかった原始を対象とする設問だった。

問2 陰陽寮に関して述べたX・Yとその説明に該当する語句をそれぞれ選択する問題。「天皇の詔書作成」→中務省、「天皇のそばに仕えて機密文書を扱う役所」→蔵人所など、用語を特定する情報を見逃さなければ、正答を導くのは容易だった。

問3 死後に怨霊となって祟りをなしたと言われている人物に関する年代整序問題。IIが長屋王(8世紀前半)、IIIが早良親王(長岡京造営の際、藤原種継を殺害したと疑われ流刑、8世紀後半)、Iが菅原道真(9世紀)、をそれぞれ対象にしている選択肢だった。

問4 古代社会における暦の影響に関する史料読解問題。史料だけでなく、問題文を熟読する必要があった。

問5 a・bは、文章A・Bや史料1・2を踏まえて判断する必要があった。c・dの判断には、国風文化期の貴族の生活に関する基礎的な情報も必要とされていた。

第3問 中世の京都
第3問では、正誤を組み合わせる問題が3問、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。誤文を選択する問題や年代整序問題は、いずれも基本的な知識で対応できる問題だった。特筆点として、経済の動きを模式的にあらわした図を用い、かつ組合せを8つの選択肢から選ぶ問題(問5)が出題されたことがあげられる。

問1 戦国時代の京都における商業の中心地を調べる方法に関して述べた文と、その調査対象に該当する語句の組合せを選択する問題。Xは会話文と図1から解答の手掛かりを探す必要があった。Yは設問文の「戦国時代」の条件設定を見逃さなければ、正答を導くことは容易だった。また、『洛中洛外図屛風』などを確認したことがあれば、有利だったと思われる。

問2 平安京の周辺に作られた寺院に関して述べた年代整序問題。IIは国風文化、Iは院政期の文化、IIIは鎌倉文化に関わる寺院について述べたものであり、判断はしやすかったはずである。

問3 室町幕府と大内氏が出した撰銭令の史料を比較する読み取り問題。史料は現代語訳されているものの、史料の情報と選択肢文をじっくりと比較する必要があった。永楽通宝が標準貨幣とされたこと、最も流通したことなどの先入観にしたがって選択肢を判断しようとすると、正答を判断するのが困難になったと思われる。

問4 中世の芸術や文化に関する問題。『瓢鮎図』は「大和絵」ではなく、水墨画である。『瓢鮎図』は、多くの教科書に掲載されており、教科書のキャプションまで確認しておくことが大切である。

問5 選択肢が8つ用意された、新傾向の問題。一見しただけでは複雑そうにみえるが、問われている知識は基本的なものだった。試行調査にも、図と矢印を用いた設問が含まれており、中世の流通経済は従来のセンター日本史Bでも頻出だったため、準備を怠っていなければ、取り組みやすかったと思われる。


第4問 江戸時代における人々の結びつき
正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。大問の全体像を把握したうえで最も適当なものを選ぶことが求められる問題(問5)が出題されていたものの、多くの問題は教科書を中心とした学習で対応可能と思われるものであり、史料の読み取りが求められた問題も、かつてのセンター試験に近い形式の問題だった。

問1 会話文中の2つの空欄に入る文を選択する問題。選択肢の内容や、選択肢に該当する時期を意識すれば、正答を導くのは容易だった。

問2 江戸時代の商人や職人の仲間・組合やそれに関わる政策に関して述べた年代整序問題。Iの糸割符制度は17世紀前半(1604)、IIの十組問屋の結成は17世紀後半(1694、徳川綱吉の治世)、IIIの株仲間の積極公認や幕府専売制は18世紀後半(田沼時代)、と判断できれば正答を導けた。ただし、IIの判断にやや迷ったかもしれない。

問3 史料1とその解説を読んで判断する2文正誤問題。Xは史料1の「津山藩」(美作国、現在の岡山県)、「備前藩」(備前国、現在の岡山県)などを手掛かりにすれば判断でき、Yは史料1の「蘭学」に注目できれば判断することが可能だった。

問4 a・bは、史料を丁寧に検討すれば、正答を導くことができる、読解力・分析力が求められていた。dは、設問文の、「1751年」、という情報を見逃さず、貿易を制限する海舶互市新例(1715)を想起できるかがポイント。

問5 江戸時代における人々の結びつきに関する4つの文から正文を選択する問題。誤文である選択肢1は会話文を、選択肢3は問3をヒントにするべきだった。選択肢4は、江戸時代後期の関東の農村の状況や寄場組合(改革組合村)に関する基本的な知識があれば、判断できたと思われる。


第5問 幕末から明治にかけての日本
小問数は4問で、内訳は正誤を組み合わせる設問、4つの文から正文を1つ選ぶ設問、2つの文の正誤を判断する設問、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。特筆点としては、発言の正誤を判断する設問(問4)が出題されたことがあげられるが、全体的には昨年度に比べてシンプルな設問が多く、解答を出すのに多くの時間を必要としなかったのではないかと思われる。

問1 牧野りんの生没年の間に起きた出来事に関して述べた文と単語の組合せ問題。牧野りんの生没年はメモに記されていたが、選択肢だけでも基本知識で十分に対処できる問題だった。

問2 幕末から明治期にかけての服装や身なりに関わる出来事に関して述べた年代整序問題。IIIは幕末期、Iは1870年代、IIは1880年代、とおおよその時期を特定できれば正答を導けた。

問3 史料の読解問題。Xは、史料文も短く、日本史に関する知識が十分でなかったとしても、史料を丁寧に読み取ることによって判別できたと思われる。明治時代の教育史に関する設問は、2021年度・共通テスト本試・第1日程の第5問・問3でも出題されていたため、設問文の、「史料は、岸田が1884年に発表した」という情報を見逃さなければ、国定教科書制度は1903年以降の制度であるため、容易に判断できたはずである。

問4 波線部についての正誤判定問題。2021年度・共通テスト本試・第2日程の第2問・問3に近い形式で、基本的な年代を把握しておくことが前提とされていた。


第6問 旅
小問数7問のうち、正誤を組合せる問題が2問、4つの文から正文を選ぶ問題が2問、2つの文の正誤を判断する問題が2問、空欄補充問題が1問出題された。史資料を用いて読解が求められる問題が複数出題されており、解答を選択するまでにある程度の時間が必要だったと思われる。

問1 空欄に入る文や語句の組合せを選択する問題。学制(1872)と教育令(1879)の内容を把握していないと解答を導き出せなかった。

問2 史料の内容に関して述べたX・Yの2文正誤問題。Xでは知識が、Yでは読解が求められた。Yの正誤を判断する際には、提示された資料から下線部bが1896年(日清戦争後)であることを確認する必要があった。

問3 表を利用した読み取りを含む問題。「釜山・京城」→朝鮮、「奉天・撫順」→満州、など地名がどこの国(地域)を指しているか判断する必要があった。選択肢2は表の「17~18日」の「奉天・撫順」の部分だけを見ても判断がつかないが、「22日」の訪問地に「奉天」とあるため、こちらも「17~18日」と同地域を指していることが分かれば判断できた。

問4 表と史料の読解問題。史料文も短く、表と史料を丁寧に読み取ることによって、正答を導くことができる設問だった。

問5 4つの文から正文を選ぶ問題。メモ中にある「1912年」を見逃さないことが重要。「地方改良運動」「ファシズム」「産業革命」「民族自決原則に基づく独立運動」の時期や、各用語に関する情報を習得しておく必要があった。

問6 提示された見出し一覧の情報だけでなく、沖縄返還の時期を特定しておく必要があった。この形式の設問は、a・b(もしくはc・d)のいずれかが正文または誤文であるため、2つの文を比較して判断すればよい。

問7 第二次世界大戦後の日本とアジアの関係に関するX・Yの2文の正誤を判定する問題。Xでは「北大西洋条約機構(NATO)」、Yでは「アジア・アフリカ会議」に直接的・間接的に関わる情報の理解が不可欠であり、受験生には盲点だったかもしれないが、来年度からの歴史総合を意識した設問とも考えられる。なお、アジア・アフリカ会議については、2013年度のセンター本試・日本史Bでも出題されていた。

【新高3生へ】

日本史の実力そのものを向上させ、読解力を養おう!
共通テストは、事件や政策などを多面的・多角的に考察する過程が特に重視され、歴史的事象の意味や意義、特色や相互の関連など、総合的に考察する力が求められる傾向にあるといえます。具体的には、教科書で扱われていない初見の資料を使って、そこから得られる情報と授業で学んだ知識を関連づけて判断することを求める問題、仮説に対する根拠として適当なものを選択させる問題、歴史の展開を考察させる問題、特定のテーマを考察させる問題などが増加していくと考えられます。従来のセンター試験日本史Bより、思考力・判断力が求められるため、史資料読解型の問題に対する演習量を増やしておく必要があるでしょう。ただし、読解力が求められるとはいえ、日本史の問題であるため、日本史の実力がともなっていなければ、史資料を読みとることが困難となります。そのため、日本史の実力そのものを高める努力を怠らないようにする必要があります。また、共通テスト日本史Bの問題構成は、センター試験日本史Bと同じで、第1問はテーマ史、第2問は原始・古代、第3問は中世というように、第2問~第6問は時代ごとに大問が構成されています。そのため、通史学習と問題演習をうまく組み合わせて学習を進めることが可能です。学習の進度にあわせて、第2問、第3問というように、演習に取り組んでみましょう。とはいえ、共通テストは導入されて3年目であるため、過去問も多くは存在せず、試行調査をあわせても演習に適した問題は不足してしまうでしょう。そこで、東進ブックス共通テスト実戦問題集日本史をお勧めします。この問題集は、すべてがオリジナル問題で、2021~2023年度で実施された共通テストよりもやや複雑な、試行調査型の問題もあえて含める形にしています。さまざまな形式の良問に取り組めば、通史の学習の際にどのようなことを意識したらよいかが見えてくるはずです。日常の学習においては、教科書に掲載されているグラフ・表・絵画などを「ただ眺める」のではなく、「そこからどのような情報を導けるのか」を考察する習慣をつけるとよいでしょう。

「考えながら」覚える習慣をつけよう!
教科の性質上、日本史に暗記的要素が強いことは間違いありません。とはいえ、単純な暗記だけでは、知識は定着しづらく、入試問題への対応も危うくなります。日本史の学習において、最良のバイブルは教科書です。そのことを認識していても、教科書を精読する習慣を身につけている受験生はそれほど多くはありません。単純な作業のように思えてしまい、教科書を精読することが継続できないとすれば、それは、「考える」ことをしていないからだといってよいでしょう。共通テスト日本史Bでは、限られた時間内で正確に解答する力が求められます。そのためにも、「考える」日本史学習を習慣にしていきましょう。文化史(仏像彫刻)を例にとれば、仏像彫刻を把握していく際に、(1)ほかの時代で扱う仏像彫刻と比較する、(2)写真で確認してその特徴を考える、(3)当時の仏教はどのような性格をもっていたのかを把握する、(4)政治・外交・社会など他の分野との関連性を確かめる、など複数の視点で歴史を捉えることを意識して、読み方を変えてみましょう。そうして考えてみたことを自分でノートにまとめれば、立派なサブノートができあがっていきます。

模試を有効に活用しよう!
学習の習慣をつけるのは、容易ではありません。そこで勧めたいのが模試の受験です。東進の「共通テスト本番レベル模試」は、「全国統一高校生テスト」も含めると年間全6回実施されます。試行調査、今までに実施された共通テスト日本史Bや日本史Aのほか、共通テストに類似したセンター試験日本史Bの過去問も参考にしながら、多くの出題スタッフによって作成された東進の共通テスト本番レベル模試は、本番の共通テストで高得点を得るための不可欠なツールといってよいです。なお、「早慶上理・難関国公立大模試」「全国有名国公私大模試」も、それぞれ全5回、実施されます。新高3生を対象とした、直近の東進模試としては、第1回共通テスト本番レベル模試(2023年2月19日実施)や、記述式の高2レベル記述模試(2023年3月12日実施)などがあげられます。これらは、受験日本史に精通した作題者によって作成されています。学習のペースメーカーとするためにも、これらを受験しましょう。

 

【新高2生へ】

歴史に興味をもとう!
2023年1月、3回目の大学入学共通テストが実施されました。他の教科と同様に、日本史でも、「考える」学習の重要性が高まっています。新学習指導要領で新設された教科「歴史総合」でも、考えさせる「問い」が数多く設定されています。その背景にあるのは、現在・未来を考える上で「過去」を考え、認識することが不可欠である、という点です。コロナ禍のなかで、人類が直面した過去の感染症に注目が集まっています。また、近年では、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、中国、韓国、北朝鮮などの近隣諸国と日本との緊張がニュースになることも少なくありません。こうしたニュースを見聞きする際に、「どのような歴史的背景から、緊張が生じているのか」といった問題意識をもてば、歴史を学ぶことの意味や重要性を認識できるのではないでしょうか。「歴史なんて学ぶ意味がない」「過去のことを考えるのは面倒」などと否定的にとらえてしまえば、歴史総合や日本史探究は、当然つまらない教科になってしまいますし、得点も伸びていきません。大学入学共通テストでは、史料文、表・グラフ、写真・図などの資料を分析させたり、これらの理解を求めたりする出題が増加すると考えられます。まずは歴史に興味をもち、考察する姿勢を養いましょう。とはいえ、歴史に関心をもっていたとしても、みなさんは新課程入試の1年目にあたる受験生であり、「歴史総合+日本史探究」という、過去に出題例のないテストに取り組むことになるため、不安を払拭できないのではないでしょうか。そこで、次に具体的な学習法について触れておくことにします。

教科書を重視しよう!
まずは教科書を軸に学習を進めましょう。本文の精読が不可欠なのはもちろんですが、史料文や図、グラフなども重視して下さい。ただし、眺めるだけでは実力はつきません。そうした資料から何が導けるかなどについて、考察するようにしましょう。これまでのセンター試験に比べ、共通テストの出題形式は複雑になりました。限られた時間内で正確に解答する力が必要です。その力を養うためには、日常から多くの素材に触れておくことが不可欠です。歴史上の出来事は評価の難しいものが少なくありませんが、教科書には、日本の歴史が簡潔かつ客観的に記述されています。国際化が顕著となっている今日において、主観を排除した日本史の把握は、受験のためだけではなく、みなさんが社会人となったとき、ビジネスの場面で大きな役割を果たすことになるはずです。ただ、どうしても教科書を精読する習慣がつかない方もいるでしょう。その場合は、一度に多くのページを読もうとするのではなく、「今日は奈良時代の政治を把握する」、「明日は飛鳥文化を理解する」など、自らテーマを設定して読む部分を絞って精読し、教科書を閉じたあと、そこには何が書いてあったのかをノートにメモするようにしてみてください。こうした習慣は、やがて大きな力になっていきます。ただし、みなさんにとって悩ましいのは、歴史総合と日本史探究というように、対象となる教科書が2冊になっている点ではないでしょうか。特に、歴史総合の教科書にどう取り組むべきか、疑問を抱いている方が少なくないのではないかと思われます。世界の歴史を把握しつつ、日本の歴史を理解しようとすることには重大な意味があります。一方で、日本史探究の情報だけでもかなりの量があるため、歴史総合の教科書まで詳細に把握することは、困難とも考えられます。そこで、歴史総合の教科書は、中学歴史で学んだ情報の上に構成されているという点をふまえ、世界史的性格をもつ情報については、中学歴史でふれたことのある知識を中心に、理解を深めるといった姿勢で取り組むとよいでしょう。未実施の試験であるため、断定的なことはいえないものの、2022年11月に発表された歴史総合+日本史探究の試作問題では、世界史的な情報については、中学歴史のレベルで対処できるものがほとんどでした。早い時期から基本的な知識を正確に身に着けるようにし、本番で十分に得点できるように準備していきましょう。

模試を有効に活用しよう!
2021~2023年に実施された大学入学共通テスト日本史Bは、過去問がほとんど存在しない試験です。また、みなさんが受験する共通テスト歴史総合+日本史探究は、過去問が全く存在しません。しかし、東進の共通テスト本番レベル模試は、2022年11月に発表された歴史総合+日本史探究の試作問題などをふまえ、出題される問題を想定しながら作成されているため、早い段階から受験しておけば、そうした不安を払拭できるはずです。また、高得点をめざすのであれば、多様な出題形式に慣れておくために、共通テスト本番レベル模試だけでなく、さらにさまざまな模試の受験を検討しましょう。与えられた資料を分析して論述する問題を含む早慶上理・難関国公立大模試、基本的な日本史の知識を確認できる全国有名国公私大模試などの受験は、共通テストを含め、日本史の得点力を確実に高める役割を果たすでしょう。東進では、「共通テスト本番レベル模試」と「全国統一高校生テスト」をあわせると全6回、「早慶上理・難関国公立大模試」「全国有名国公私大模試」はそれぞれ全5回実施されます。これらは、受験日本史に精通した作題者によって作成されており、近年出題が増加している、読解タイプの問題が数多く含まれています。また、「解答解説」では、初学者でも理解しやすいように、(1)図や表を用いる、(2)ルビを多くふる、(3)理解を深めてもらうための【参考】や【整理】を設ける、といった工夫が施されています。受験会場の雰囲気にふれたり、成績がどのような状態にあるのかを把握したりすることは、モチベーションの向上につながります。学習のペースメーカーとするためにも、東進の模試を受験しましょう。