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校舎からのお知らせ

2023年 1月 15日 ★☆★【生物基礎】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】



【全体概観】

「思考力」を問う出題が多い。大問ごとの配点が変化!

 大問数は3問と昨年から変化はなかったが、設問数は15問と昨年より1個減少し、マーク数は18個と昨年より1個増加した。出題形式は空所補充、用語の組合せ、正誤判断が主体ではあるが、図や資料・実験結果を解析する力や仮説を検証する力、いわゆる「思考力」を問う問題が、昨年に引き続き多く出された。また、2年連続で会話文形式の問いが出題されたほか、計算問題も昨年に引き続き出題された。一方で、過去2回の共通テストでは第1問の配点が最も高かったが、今年度は第2問・第3問の配点が17点と高く、第1問の配点が16点と最も低かった。第2問Aでどれだけ得点できたかどうかが高得点へのカギとなる。なお、昨年度の特筆点として、「写真を用いた実験考察問題」が出題されたことがあげられるが、今年は出題されなかった。
 例年同様、特定の分野に偏ることなく、幅広い内容が出題されている。出題内容は、第1問が『生物と遺伝子』から生物の特徴・代謝・遺伝情報の複製・細胞周期、第2問が『生物の体内環境の維持』から胆汁に関する実験考察問題・免疫、第3問が『生物の多様性と生態系』から生態系の保全・生態系内の物質循環とエネルギーの流れ・バイオームである。今年度が3回目の共通テストであるが、昨年に引き続き思考力を問う問題が多く出題されており、出題形式がある程度固まってきたと言える。模試などを活用し、共通テスト型の出題形式・傾向に慣れていたかどうかで、得点に差がついたであろう。

【設問別分析】

【第1問】生物と遺伝子(生物の特徴・代謝・遺伝情報の複製・細胞周期)
設問数は5問、マーク数は5個でいずれも昨年より1個減少した。Aは、生物の特徴・代謝に関する問題だが、知識問題だけではなく、生物の特徴・代謝に関する基礎知識をもとにした考察問題も出題された。問1は原核細胞と真核細胞の比較に関する知識問題であり、確実に正解したい。問2は代謝の基礎知識をもとにした考察問題であるが、文章を素直に読めば難なく正答できる。Bは、細胞周期に関する総合問題だった。問3は複製開始点の数を求める計算問題である。設問文に書かれている情報は「精子」の核に含まれるDNAの塩基対数であるが、問われているのは「体細胞」についてであることに注意したい。問4は問題文のみから解答を導く考察問題であるが、問題文に書かれている情報を落ち着いて処理できれば、十分に正答できる。問5は細胞周期における細胞当たりのDNA量変化に関する基礎知識をもとに、問題文と図の両方を正確に理解する必要があり、解答に時間がかかる。

【第2問】生物の体内環境の維持(胆汁に関する実験考察問題・免疫)
設問数は5問と昨年と変わらないが、マーク数は7個で昨年より1個増加した。Aは、胆汁に関する実験考察問題だった。問1・問2ともに実験考察問題に十分慣れていないと解答に時間がかかる。高得点が取れたかどうかは、これらの問題をいかに素早く正確に解けたかがカギとなったであろう。Bは、免疫に関する知識問題と、基礎知識をもとにした実験考察問題だった。問3・問4は自然免疫のしくみについてきちんと理解していれば十分に解答できる。問5は実験が多く、処理しなければならない情報量は多いが、免疫のしくみに関する基礎知識が十分に習得できていれば、問題なく正答できたであろう。

【第3問】生物の多様性と生態系(生態系の保全・生態系内の物質循環とエネルギーの流れ・バイオーム)
設問数は5問と昨年と変わらないが、マーク数は6個で昨年より1個増加した。Aは、生態系の保全・生態系内の物質循環とエネルギーの流れに関する知識問題と、基礎知識をもとにした考察問題だった。問1は生態系内のエネルギーの流れについて、代謝の単元である光合成に関する基礎的な知識問題であった。問題自体は平易であるが、このような分野を跨いだ出題は生物基礎では珍しい。問2は生態系内の物質循環に関する知識問題であり、平易。問3は生態系に関する基礎知識をもとに水槽生態系の保全を思考させる良問であるが、理解するのに時間がかかる。また、適当なものを「過不足なく」選択する問題形式であることも、受験生にとっては正解までのハードルを高くした要因であるだろう。Bは、バイオームに関する知識問題と、基礎知識をもとにした考察問題だった。問4はバイオームに関する知識問題であり、各バイオームの特徴を正確に理解していれば難なく解答できる。問5はバイオームの基礎知識をもとにした考察問題であるが、問題文の内容と図が理解しやすく、十分に正答できたと思われる。

【新高3生へ】

【大学入学共通テストについて】
 大学入学共通テストでは、教科書内容の知識を活用しながら図や表を解析する力、いわゆる“思考力”が求められています。また、センター試験と比べて問題文や設問文の量が多いのが特徴です。

・問題構成
 大問3題で構成され、各大問はA・Bの2つに分かれています。全問マーク式で、総マーク数は16個〜18個になると思われます。

・問題内容
すべて教科書内容からの出題となります。「生物と遺伝子」・「生物の体内環境」・「生物の多様性と生態系」の3分野で構成されており、それぞれの分野から各大問が出題されます。このため、全ての分野を満遍なく学習する必要があります。

・学習の指針
 大学入学共通テストは、単に生物用語を問う知識問題ではなく、“思考力”を必要とする考察問題が出題されます。だからと言って、基礎知識をおざなりにしてはいけません。英語の長文をスラスラ読むためには、英単語や英熟語を覚えておくことが必要ですよね。同じように、考察問題をスラスラ解くためには、教科書に出てくる基礎知識をきちんと覚えておくことが必要です。このとき、教科書の記述を“丸暗記”してはいけません。例えば、「ミトコンドリアはDNAをもつ」という文章を丸暗記しても、その先の発展性はありません。一方で「なぜミトコンドリアはDNAをもつのか」と一歩踏み込んで考えると、「ミトコンドリアは元々独立した生物が細胞の内部に入り込んで生じたものである」という内容まで合わせて覚えることができます。このように、教科書に記述されている内容に対し、常に“なぜ”を意識した学習をすることで、知識の詰め込みを回避し、暗記の負担を軽くすることができます。その上で、共通テスト型の問題を利用して“思考力”を養いましょう。センター試験と比べると、対策には十分な時間が必要となります。できる限り早い段階から学習を始めてください。

【積極的に模試を受験しよう】
 みなさんは共通テスト4期生となります。したがって、先輩たちと比べて、より具体的な対策を講じることが可能です。しかし、依然として手に入る共通テスト型の問題はあまり多くないでしょうから、実践的な演習のために、共通テスト本番レベル模試を受験することを強くお勧めします。その際、生物基礎全分野の学習が終わってから受験しようとするのではなく、日々の学習と並行して受験するようにしてください。自分の成績状況を模試の結果から客観的に把握することはとても大切ですし、模試を通して各分野の習熟度を測ることができます。また、共通テスト独特の出題形式・問題内容・時間配分に慣れることも重要です。早い段階からできるだけ多くの模試を受験し、実践的な演習を繰り返しましょう。

 

【新高2生へ】

【大学入学共通テストについて】
 大学入学共通テストの問題構成・問題内容・学習の指針については、『新高3生へのアドバイス』を読んでください。共通テスト5期生となるみなさんは、先輩たちと比べて、より具体的な対策を講じることが可能です。共通テストの特徴をよく知り、十分に対策した上で、本番に臨みましょう。

【生き物に興味を持とう!】
 ある種のカマキリは、交尾の際、雌が交尾相手の雄を食べてしまうのだそうです。とても不思議ですね。この不思議を単に“不思議”のままで終わらせず、「雌が雄を食べたときと食べなかったときとで、産卵数はどの程度違うのか」、「雄が雌に食べられることのメリットは何なのか」、「雌がもつ遺伝子のうち、この行動を支配している遺伝子はどれなのか」などを科学的に探究するのが生物という学問です。このとき、科学的な探究の過程で得られたデータを考察する能力が、大学入学共通テストで求められている知識を活用しながら図や表を解析する力、いわゆる“思考力”なのです。日頃から生物に興味を持ち、身近にある“不思議”を探究して考察することは、大学入学共通テストの解答力に直結します。常にアンテナを張り、生き物の不思議に興味を抱いてください。

【高2の段階ですべきこと】
 まずは教科書に出てくる生物用語を正確に理解しましょう。その際、「用語を覚えているかどうか」ではなく、「用語を説明できるかどうか」を習熟度の指標としてください。また、大学入学共通テストでは、「ある仮説に対して、仮説を実証するためには何が検証されるべきか」を問うような実験計画に関する問題が出題されます。この問題を解答する能力は、一朝一夕で得られるものではなく、日々の地道な学習を積み重ねることで初めて得られます。高校2年生のうちから、教科書に出てくる生物用語を正確に理解するとともに、実験から得られた図や表を解析する力を養い、来たる受験学年へ向けて十分な準備をしましょう。