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校舎からのお知らせ 

2023年 1月 14日 ★☆★【地理B】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

 

【全体概観】

第4問の地誌で、インド・中国2カ国を広域的に取り上げる問題が復活した。

分量
前年と同じ。大問数は5題である。設問数は30、マーク数は31である。
形式
組合せ式問題のマーク数は18で、前年より1つ減ったが全体の6割を占める。2021・22年度に出題された8択式は出題されなかった。図表選択式問題のマーク数が8と前年より増加したが、うち2つは5地域から2つを選ぶ形式であった。
図版(図、表、写真、資料※)の点数は38で、前年より1つ減ったものの、多用の傾向は続いている。 
※ 図表・写真や短文などを組み合わせた複合的な図版。

構成
各大問の分野構成は過去2年と同様で、第1問は自然環境と自然災害、第2問は産業分野、第3問は都市と人口、第4問は地誌、第5問は地域調査である。

内容
第1問
世界の自然環境や自然災害について出題された。知識で処理できる設問は少なく、高い考察力を必要とする。なかでも、時間的・空間的スケールから現象を判別させる問1は新傾向である。問2・問3・問5なども、初見の受験生を苦しめたであろう。

第2問
資源と産業に関する大問である。問1を除いて、統計データの読み取りが決め手となる設問が並んだ。遺伝子組み換え作物を題材とした問3では、注意深い正誤判定が求められる。

第3問
都市と人口に関する大問である。例年と異なり、日本に限定した出題となった。標準的なレベルの設問が中心であるが、第2問と同様に統計の処理が重要となる。問5では「従属人口指数」の意味を的確に読み取って判断する必要がある。

第4問
地誌の大問では、インドと中国が取り上げられた。比較地誌というよりも、2か国を広域的に扱ったユニークな問題である。問2では、グループ設定基準の意味が分かれば、主要な稲作地域・小麦地域の分布から判断できる。

第5問
利根川下流域を題材とした地域調査の問題である(地理A第5問と共通)。常識的に処理できる問題が多く含まれるが、会話文の分量や資料点数が多いうえ、やや深い考察を必要とする設問も目立つため、落ち着いて対応できたかが分かれ目となった。


【設問別分析】

【第1問】世界の自然環境と自然災害

知識で処理しうる設問は少なく、高い考察力を必要とする。なかでも、時間的・空間的スケールから現象を判別させる問1は新傾向である。問2・問3・問5なども、初見の受験生を苦しめたであろう。

問1 時間スケールだけでも判別可能。モンスーン=季節風だから、数カ月間の事象。
問2 サンゴ礁は、温暖で透明度高い海域。海流は北半球で時計回り、南半球でその逆。
問3 南半球パースは1月が夏、亜寒帯ヤクーツクは年較差大、高山ラパスは常春。
問4 Jは変動帯=プレート境界周辺に、Kはハリケーン来襲する北米南東岸に対応。
問5 沈み込み帯に沿った深震源と、地殻内部の浅震源。Rは2つの沈み込み帯を横断。
問6 短時間に内水氾濫が生じる都市型水害の特徴を想起。人工被覆との関係が重要。


【第2問】資源と産業

問1を除いて、統計データの読み取りが決め手となる設問が並んだ。基本的な知識を十分に活用して考察したい。遺伝子組み換え作物を題材とした問3では、注意深い正誤判定が求められる。

問1 中世に発達した三圃式農業の圃場。短冊状の分割は農民ごとの割り当てを示す。
問2 東アジアの水田耕作は灌漑が前提のうえ、二期作などの集約的農業により単収大。
問3 上位5か国にはインドが含まれる。EU諸国は遺伝子組み換え作物の規制厳格。
問4 生産量ではなく輸出比であることに注意。水牛を含むためインドも牛肉輸出国。
問5 ポルトガルは陸路ではスペインのみ隣接。フランスはエアバス社の航空機輸出国。
問6 大市場の米国、市場の小さいカナダとも森林資源が豊富なためパルプ割合が高い。


【第3問】日本の都市と人口

例年と異なり、日本に限定した出題となった。標準的なレベルの設問が中心であるが、第2問と同様に統計の処理が重要となる。問5では「従属人口指数」の意味を的確に読み取って判断する必要がある。

問1 この期間に東京一極集中が強まる。四国は関西と結合。遠隔の九州は東京へ。
問2 地価はバブル期に急騰、のち暴落。産業空洞化で町工場は海外移転。街は高層化。
問3 駅前中心部Dは空洞化、周囲が農地のEは宅地開発、Fは郊外の幹線道路沿い。
問4 地方圏では人口全体が減少しており、高齢化率が上がっても老年人口は増えない。
問5 従属人口指数が低い=生産年齢人口の割合高い=高度経済成長の条件。
問6 ポーランドのEU加盟は2004年だから、西側諸国への移住はその後。


【第4問】インドと中国

センター試験時代、中国地誌は2017年、2020年(比較地誌の一方)など、インド地誌は2008年、2016年(比較地誌の一方)などで出題されている。本問は、比較地誌というよりも、2か国を広域的に扱ったユニークな問題である。問2では、グループ設定基準の意味が分かれば、主要な稲作地域・小麦地域の分布から判断できる。

問1 やや難。森林割合が決め手になるが、Cだけでなく、4地域とも判定する習慣を。
問2 アは稲作=華南・東北やインド東岸、ウは小麦地帯=華北やパンジャブ地方など。
問3 インド政府による家族計画プログラムは、不妊手術などが国民の反発に合い失敗。
問4 工業化は中国先行、農業割合高いインドではICT関連産業の発達で通信業が成長。
問5 移民=労働力は途上国から先進国へ、オーストラリアの資源は工業国・中国へ。
問6 Sではシベリア内陸から海洋へ吹く季節風の影響。土壌はほとんど移動しない。


【第5問】地域調査(利根川下流域周辺)

地理A第5問と共通の問題だが、過去問と比べると利根川下流域という舞台設定はユニーク。常識的に処理できる問題が多く含まれるが、会話文の分量や資料点数が多いうえ、やや深い考察を必要とする設問も目立つため、落ち着いて対応できたかが分かれ目となった。

問1 Aから下流に辿ると東京湾。取手-佐原間は約40km=40000m、1万分の1は?
問2 Fは交通の便が良く、中心地機能が高いため、建物が密集しているであろう。
問3 aは鉄道敷設後に発達。裁判所・税務署などはbに集中。道路交通は利便性重視。
問4 「利根川の支流への逆流」を防ぐ場所を考える。低平な下流域では決壊が怖い。
問5 近年、中国産などの輸入が急増。天然の鰻には海から遡るための魚道が必要。
問6 常識的に処理しやすいタイプだが、やや悩ましい。目的と手段の関係に留意。


【新高3生へ】

◆共通テスト地理Bの特徴
 2021年から始まった共通テスト地理Bですが、これまで3年間の出題傾向を端的にまとめると、「知識の多少ではなく、分析し、考える力を重視している」ということになります。また、そのためにやや長い問題文を伴う設問や、複雑な組み合わせ式の設問が多くなっています。例えば、ある地点の気候グラフを題材とする場合、従来のような「A地点のグラフはどれか」といった単純な形式ではなく、「A・B2地点のグラフとして、それぞれX・Yが選ばれる理由を述べた文の正しい組合せはどれか」と問われるのです。各地点の気候区分を暗記していても解けません。気候の成り立ちを理解する必要があります。また、込み入った構成の問題内容を短時間で処理する手際の良さも欠かせません。
 なお、共通テストは2025年から新課程テストに移行し、「地理総合、地理探究」および「地理総合、歴史総合、公共(うち2科目選択)」が実施されます。ただし、新高3生が浪人を決断した場合、25年に限り経過措置として「旧地理B」での受験が可能となります。
共通テスト地理Bの出題のポイントは、以下のように考えられます。
① 地理に関わることがらを題材にして、
② ことがらの持つ意味や役割、ことがらどうしの対比・関連づけ、ことがらに潜む問題点などを考えながら見抜く力や、
③ 知識の活用や資料の分析によって、「地理的な見方や考え方」を順序よく働かせる力を試す

実際の出題内容としては、おもに系統地理(自然環境・産業・社会などのテーマ別学習)の各分野がまんべんなく扱われています。また、世界地誌(大陸・国ごとの地域別学習)の大問は5問中1問だけですが、世界の国や地域に関する設問が他の大問中にバランス良く配置されています。いずれも知識(用語や地名)そのものを問うことは少なく、地図や写真、統計など各種資料の読み取りと関連付けた出題が多くなっています。ほとんどの設問に資料が与えられています。

共通テストでは、「情報処理、思考、判断」の能力を試す傾向がはっきりしており、加えて地理的な事象を多面的・多角的に考察した過程や結果を、理由や根拠に基づいてまとめることができる「表現力」も重視されています。記述式設問はありませんが、その代わりにさまざまな「場面設定」※が工夫されており、「実際にその場面にいたら、どう読み取り、どう考察し、どう表現するか」を考えさせようとしています。
したがって、地理的思考力や資料の読み取り技能を重視した問題の割合が多く、その結果、複数の判定を組合せた形式の設問が中心となっているのです。用語や地名を詰め込むだけの学習では対応できません。

※ 場面設定として、以下の例が想定されます。
①  地理的な課題を探究し、その解決や将来を展望する場面
②  資料から事象を読み取り、地域の変容や構造を考察し、地域的特色などを説明する場面
③  新たな課題を設定し,情報の収集,整理・分析を行う場面


◆思考力が大事
 丸暗記に終始するような詰め込み学習では対応できません。「地理は暗記科目」と考えられがちですが、共通テストの地理Bでは思考力がものをいいます。地理的な事象について「なぜそうなるか」を十分に理解した上で、「使える(=応用できる)基本的な知識」をこつこつ積み上げましょう。知識がネットワーク化すれば、1つの理解が2つにも3つにも応用できるようになります。もちろん、知識重視タイプの問題もゼロではありません。自然環境、産業、集落といった系統地理だけでなく、世界地誌の準備も早めにスタートすることで、情報量の面での遅れを招かないようにしたいものです。このような場面では、一問一答形式の問題集なども役に立つでしょう。


◆資料問題に強くなろう
 共通テストにおける地理Bの顕著な特徴は、地図や図表、写真などの資料を使った出題の割合が高いことです。これらを読み取り、利用する技能が求められているのです。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。教科書や資料集を用いて、主題図(テーマのある地図)や写真などに見慣れておくことも重要です。また、統計についても、順位、数値の暗記ではなく、統計の背後にある地理的要因を読み取る意識で、最新の統計をこまめにチェックするようにしましょう。また、地歴連携の重視から、歴史的背景や経緯を問う出題がみられるようになっています。

◆独特な出題形式に慣れておこう
独特な出題形式への慣れも欠かせません。組合せ式問題などがその典型です。問題の質や量と試験時間(60分)を見比べると、決して時間的な余裕はありません。過去問演習(センター試験も含む)や共通テスト試行問題などの演習はもちろんですが、東進の共通テスト本番レベル模試を定期的に受験して、
(1)頻出項目をマスターし、最新の傾向をつかむ
(2)出題形式に慣れ、時間配分をトレーニングする
(3)解説を利用して、「どうしてそうなるのか」の考え方を鍛える
といった点の強化に利用してください。

【新高2生へ】

◆「地理B」という科目の特徴

 先に新高3生(地理B)へのアドバイスを読んでみてください。なかなか大変なメニューが並んでいますね。
 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。共通テストは、2025年から新課程テストに移行し、「地理総合、地理探究」および「地理総合、歴史総合、公共(うち2科目選択)」が実施されます。すでに大学入試センターから試作問題が公表されていますが、例えば「地理総合、地理探究」については、地理探究と似た現行の「地理B」の内容に、「防災」など地理総合の特徴的単元を組み合わせた構成となっています。よって、上記の試作問題だけでなく、2021〜23年の「地理B」の問題や2020年までのセンター試験の出題も十分に参考になります。過去問等で傾向をつかみ、模試で実力を測って弱点を補強する、受験生としてはそんな真っ当な対策を立てたいですね。
 しかし、過去問の演習にせよ、模試の受験にせよ、ひと通りの学習を済ませて、ある程度の実力をつけてからでなければ意味をなしません。「実力をつけてから」にこだわりすぎても時機を失しますが、準備ゼロでは「敵を知る」ことも「己を知る」ことも叶いません。高3になってから正しい対策を迷うことなく進めるためには、それなりの布石というものが必要です。

◆今のうちにやっておきたいこと
 (1)一通りのことが書かれた本を読んで、地理という科目の「雰囲気」をつかんでおきます。いきなり教科書では難しいでしょうから、『山岡の地理B教室』(東進ブックス)のような入門書を利用してください。中学校で使った「地理的分野」の教科書も良いでしょう。中1当時の皆さんはまだ小学生の延長のようなものでした。だから、いま読むと「ああそういうことか」と納得できることが多いはずです。納得したことは頭に残りやすいのです。
 特に気候環境、人口、都市など、他の項目との関連が深い分野、理屈が重視される分野はていねいに見ておいてください。

 (2)地図帳に慣れておきます。地理における地図帳は、英語における辞書のような存在です。各地方の並び順、地図上のさまざまな約束、索引の使い方、などを体で覚えておきましょう。知らない地名が出てくるたびに地図帳を開く習慣をつけてください。どんどん書き込んだり、付箋をつけたりするのもGOODです。

 (3)できれば、さまざまなメディアも利用しましょう。TVの特集、クイズ番組、ニュースなどや、新聞の国際面の記事、インターネットで得られる情報などです。すべてが直接の試験対策になるわけではありませんが、世界各地に関する見識が広がることで、地誌学習が楽に進められるはずです。
 例えば、代表的な動画投稿サイトで「フィヨルド」と検索してみてください。数多くの映像によって、北欧ノルウェーなどの氷河によって形成された雄大な景観を実感できるはずです。味気ない教科書の本文が立体的に浮かび上がってきます。スマホでタブレットでも、せっかくのICT(情報通信技術)環境を有効に活用してください。

 そして、最も大切なのは「地理は暗記科目ではなく、考える科目である」としっかり理解しておくことです。はじめはピンとこないでしょうが、上のような対策に続けて実際に問題演習を始めると、「考える科目」であることを実感できるはずです。皆さんに期待しています。

2023年 1月 14日 ★☆★【日本史B】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

【全体概観】

8択など新傾向の設問がみられ、一方で、昨年度から引き続き史料を引用した設問が目立った

高校生による「探究」を想定した場面が6大問中5大問で設定され、生徒のメモや先生の説明、劇の台本を作成する会話などが素材として出題された。図・地図などの資料は減少したものの、史料を引用した問題が増加した。大問数6問・小問数32問は昨年度と同じで、全体的には、読解を必要としない設問も目立った。また今年度は会話文の形式をとる大問が4問(昨年度は3問)、メモを素材とした問題が2問(昨年度も2問)出題された。

(時代) 
昨年度の共通テスト日本史Bでは原始からの出題は見られなかったが、今年度は縄文時代や弥生時代を対象とした設問がみられた。また戦後については、今年度は1970年代までが対象とされた(昨年度は1980年代までが対象)。

(分野)
政治・社会経済・外交・文化とバランスよく出題されていたが、社会経済からの出題が目立ち、昨年度に比べ、文化史の割合がやや増加した。

(出題形式) 
年代整序の問題が昨年度の共通テスト日本史Bでは6題出題されたのに対し、今年度は第1問から第5問に1題ずつ、計5題出題された。また、昨年度見られた史料を並べ替える問題は出題されなかった。加えて、経済の動きを模式的にあらわした図を用いた問題、組合せを8つの選択肢から選ぶ問題、3人のそれぞれの発言の正誤を判断する問題が出題された。

(史料)
第1問では、仁和寺所蔵、金沢文庫所蔵の「日本図」、『常陸国風土記』、『日本書紀」(天武13年10月)、『続日本紀』(養老2年5月)、「元禄常陸国絵図」、第2問では、暦に関する『朝野群載』、「九条殿遺誡」、第3問では、酒屋の税額を示した山田邦和『京都都市史の研究』の資料、1500年の室町幕府の撰銭令『建武以来追加』、1485年の大内氏の撰銭令『大内氏掟書』、第4問では、1860年刊行の『安政文雅人名録』の一部、漂流した日本船が1751年に中国に漂着した件をまとめた『長崎実録大成』、第5問では、1884年『自由燈』9号掲載の岸田(中島)俊子の文章の一部、第6問では、1896年の長崎商業学校海外修学旅行生の上海体験記(『長商卒業生の生活と意見』)、1938年5月実施の大阪府女子師範学校修学旅行行程表(「子どもたちが見た満州」)、炭鉱就労者の出身地別・勤続年数別の比率の表(『鉱夫待遇事例』より)、山本作兵衛「入坑(母子)」、沖縄国際海洋博覧会に関する複数の新聞記事の見出し、が設問の素材として用いられた。

【設問別分析】

第1問 地図から考える日本の歴史
第1問では、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、空欄補充問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。第1問は昨年・一昨年同様、会話文形式での出題だった。特筆点として、史資料が計6点(史料3・資料3)用いられた点があげられ、3つの史料を読み取って正誤を判断する問題は複雑に感じられたのではないかと思われる。

問1 3つの史料の読解が求められた問題。選択肢と史料の該当部分をそれぞれ照らし合わせて解答を導きたい。誤文の選択肢は史料や史料の注釈から誤りと判断できる。注釈など問題文に示された情報は、選択肢の正誤を判断するヒントとされている可能性が高いと考えるべきである。

問2 中世における東アジアの出来事について述べた年代整序問題。IIが13世紀、Iが14世紀、IIIが15世紀、というように、時期が離れていたため、正答を導きやすかった。

問3 古代・中世の境界に対する意識について述べた2文正誤問題。「先生の説明」を熟読する作業さえ怠らなければ、X・Yの正誤は判断しやすかった。

問4 空欄に入る文の組合せを選択する問題。アは、地図の「酒寄村八百八十一石余」から判断できる。イは、「幕府が東蝦夷地を直轄地としたこと」の時期を特定できなくても、「ロシアとの間で国境が定められた」のは日露和親条約の締結(1854)によるものであることを想起すれば、消去法によって正答を選択することができたはずである。

問5 近代日本における測量や海図に関する事例について述べたX・Yの文と、それに該当するa・bの語句を選択する問題。明治時代の日朝関係に関わる情報や、大正時代の大戦景気など、基本的な情報を掌握していれば容易に対応できる問題だった。

問6 大問の全体像を把握できなければ対処しにくい問題。ヒントは会話文・地図や、問3の先生の説明の中にあった。共通テストでは、問題文だけでなく、各小問がヒントになるような形式の問題が出題されると考えておくべきである。


第2問 日本古代の陰陽道
第2問では、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。教科書に軸足を置いた学習によって解答可能な問題が多かったものの、2つの史料などに向き合う必要のある問4や、大問全体の把握を求める問5には、一定の時間を要したと思われる。

問1 陰陽道が成立する以前の、日本列島の信仰のあり方について述べた正誤問題。土偶や卑弥呼など、昨年はみられなかった原始を対象とする設問だった。

問2 陰陽寮に関して述べたX・Yとその説明に該当する語句をそれぞれ選択する問題。「天皇の詔書作成」→中務省、「天皇のそばに仕えて機密文書を扱う役所」→蔵人所など、用語を特定する情報を見逃さなければ、正答を導くのは容易だった。

問3 死後に怨霊となって祟りをなしたと言われている人物に関する年代整序問題。IIが長屋王(8世紀前半)、IIIが早良親王(長岡京造営の際、藤原種継を殺害したと疑われ流刑、8世紀後半)、Iが菅原道真(9世紀)、をそれぞれ対象にしている選択肢だった。

問4 古代社会における暦の影響に関する史料読解問題。史料だけでなく、問題文を熟読する必要があった。

問5 a・bは、文章A・Bや史料1・2を踏まえて判断する必要があった。c・dの判断には、国風文化期の貴族の生活に関する基礎的な情報も必要とされていた。

第3問 中世の京都
第3問では、正誤を組み合わせる問題が3問、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。誤文を選択する問題や年代整序問題は、いずれも基本的な知識で対応できる問題だった。特筆点として、経済の動きを模式的にあらわした図を用い、かつ組合せを8つの選択肢から選ぶ問題(問5)が出題されたことがあげられる。

問1 戦国時代の京都における商業の中心地を調べる方法に関して述べた文と、その調査対象に該当する語句の組合せを選択する問題。Xは会話文と図1から解答の手掛かりを探す必要があった。Yは設問文の「戦国時代」の条件設定を見逃さなければ、正答を導くことは容易だった。また、『洛中洛外図屛風』などを確認したことがあれば、有利だったと思われる。

問2 平安京の周辺に作られた寺院に関して述べた年代整序問題。IIは国風文化、Iは院政期の文化、IIIは鎌倉文化に関わる寺院について述べたものであり、判断はしやすかったはずである。

問3 室町幕府と大内氏が出した撰銭令の史料を比較する読み取り問題。史料は現代語訳されているものの、史料の情報と選択肢文をじっくりと比較する必要があった。永楽通宝が標準貨幣とされたこと、最も流通したことなどの先入観にしたがって選択肢を判断しようとすると、正答を判断するのが困難になったと思われる。

問4 中世の芸術や文化に関する問題。『瓢鮎図』は「大和絵」ではなく、水墨画である。『瓢鮎図』は、多くの教科書に掲載されており、教科書のキャプションまで確認しておくことが大切である。

問5 選択肢が8つ用意された、新傾向の問題。一見しただけでは複雑そうにみえるが、問われている知識は基本的なものだった。試行調査にも、図と矢印を用いた設問が含まれており、中世の流通経済は従来のセンター日本史Bでも頻出だったため、準備を怠っていなければ、取り組みやすかったと思われる。


第4問 江戸時代における人々の結びつき
正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。大問の全体像を把握したうえで最も適当なものを選ぶことが求められる問題(問5)が出題されていたものの、多くの問題は教科書を中心とした学習で対応可能と思われるものであり、史料の読み取りが求められた問題も、かつてのセンター試験に近い形式の問題だった。

問1 会話文中の2つの空欄に入る文を選択する問題。選択肢の内容や、選択肢に該当する時期を意識すれば、正答を導くのは容易だった。

問2 江戸時代の商人や職人の仲間・組合やそれに関わる政策に関して述べた年代整序問題。Iの糸割符制度は17世紀前半(1604)、IIの十組問屋の結成は17世紀後半(1694、徳川綱吉の治世)、IIIの株仲間の積極公認や幕府専売制は18世紀後半(田沼時代)、と判断できれば正答を導けた。ただし、IIの判断にやや迷ったかもしれない。

問3 史料1とその解説を読んで判断する2文正誤問題。Xは史料1の「津山藩」(美作国、現在の岡山県)、「備前藩」(備前国、現在の岡山県)などを手掛かりにすれば判断でき、Yは史料1の「蘭学」に注目できれば判断することが可能だった。

問4 a・bは、史料を丁寧に検討すれば、正答を導くことができる、読解力・分析力が求められていた。dは、設問文の、「1751年」、という情報を見逃さず、貿易を制限する海舶互市新例(1715)を想起できるかがポイント。

問5 江戸時代における人々の結びつきに関する4つの文から正文を選択する問題。誤文である選択肢1は会話文を、選択肢3は問3をヒントにするべきだった。選択肢4は、江戸時代後期の関東の農村の状況や寄場組合(改革組合村)に関する基本的な知識があれば、判断できたと思われる。


第5問 幕末から明治にかけての日本
小問数は4問で、内訳は正誤を組み合わせる設問、4つの文から正文を1つ選ぶ設問、2つの文の正誤を判断する設問、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。特筆点としては、発言の正誤を判断する設問(問4)が出題されたことがあげられるが、全体的には昨年度に比べてシンプルな設問が多く、解答を出すのに多くの時間を必要としなかったのではないかと思われる。

問1 牧野りんの生没年の間に起きた出来事に関して述べた文と単語の組合せ問題。牧野りんの生没年はメモに記されていたが、選択肢だけでも基本知識で十分に対処できる問題だった。

問2 幕末から明治期にかけての服装や身なりに関わる出来事に関して述べた年代整序問題。IIIは幕末期、Iは1870年代、IIは1880年代、とおおよその時期を特定できれば正答を導けた。

問3 史料の読解問題。Xは、史料文も短く、日本史に関する知識が十分でなかったとしても、史料を丁寧に読み取ることによって判別できたと思われる。明治時代の教育史に関する設問は、2021年度・共通テスト本試・第1日程の第5問・問3でも出題されていたため、設問文の、「史料は、岸田が1884年に発表した」という情報を見逃さなければ、国定教科書制度は1903年以降の制度であるため、容易に判断できたはずである。

問4 波線部についての正誤判定問題。2021年度・共通テスト本試・第2日程の第2問・問3に近い形式で、基本的な年代を把握しておくことが前提とされていた。


第6問 旅
小問数7問のうち、正誤を組合せる問題が2問、4つの文から正文を選ぶ問題が2問、2つの文の正誤を判断する問題が2問、空欄補充問題が1問出題された。史資料を用いて読解が求められる問題が複数出題されており、解答を選択するまでにある程度の時間が必要だったと思われる。

問1 空欄に入る文や語句の組合せを選択する問題。学制(1872)と教育令(1879)の内容を把握していないと解答を導き出せなかった。

問2 史料の内容に関して述べたX・Yの2文正誤問題。Xでは知識が、Yでは読解が求められた。Yの正誤を判断する際には、提示された資料から下線部bが1896年(日清戦争後)であることを確認する必要があった。

問3 表を利用した読み取りを含む問題。「釜山・京城」→朝鮮、「奉天・撫順」→満州、など地名がどこの国(地域)を指しているか判断する必要があった。選択肢2は表の「17~18日」の「奉天・撫順」の部分だけを見ても判断がつかないが、「22日」の訪問地に「奉天」とあるため、こちらも「17~18日」と同地域を指していることが分かれば判断できた。

問4 表と史料の読解問題。史料文も短く、表と史料を丁寧に読み取ることによって、正答を導くことができる設問だった。

問5 4つの文から正文を選ぶ問題。メモ中にある「1912年」を見逃さないことが重要。「地方改良運動」「ファシズム」「産業革命」「民族自決原則に基づく独立運動」の時期や、各用語に関する情報を習得しておく必要があった。

問6 提示された見出し一覧の情報だけでなく、沖縄返還の時期を特定しておく必要があった。この形式の設問は、a・b(もしくはc・d)のいずれかが正文または誤文であるため、2つの文を比較して判断すればよい。

問7 第二次世界大戦後の日本とアジアの関係に関するX・Yの2文の正誤を判定する問題。Xでは「北大西洋条約機構(NATO)」、Yでは「アジア・アフリカ会議」に直接的・間接的に関わる情報の理解が不可欠であり、受験生には盲点だったかもしれないが、来年度からの歴史総合を意識した設問とも考えられる。なお、アジア・アフリカ会議については、2013年度のセンター本試・日本史Bでも出題されていた。

【新高3生へ】

日本史の実力そのものを向上させ、読解力を養おう!
共通テストは、事件や政策などを多面的・多角的に考察する過程が特に重視され、歴史的事象の意味や意義、特色や相互の関連など、総合的に考察する力が求められる傾向にあるといえます。具体的には、教科書で扱われていない初見の資料を使って、そこから得られる情報と授業で学んだ知識を関連づけて判断することを求める問題、仮説に対する根拠として適当なものを選択させる問題、歴史の展開を考察させる問題、特定のテーマを考察させる問題などが増加していくと考えられます。従来のセンター試験日本史Bより、思考力・判断力が求められるため、史資料読解型の問題に対する演習量を増やしておく必要があるでしょう。ただし、読解力が求められるとはいえ、日本史の問題であるため、日本史の実力がともなっていなければ、史資料を読みとることが困難となります。そのため、日本史の実力そのものを高める努力を怠らないようにする必要があります。また、共通テスト日本史Bの問題構成は、センター試験日本史Bと同じで、第1問はテーマ史、第2問は原始・古代、第3問は中世というように、第2問~第6問は時代ごとに大問が構成されています。そのため、通史学習と問題演習をうまく組み合わせて学習を進めることが可能です。学習の進度にあわせて、第2問、第3問というように、演習に取り組んでみましょう。とはいえ、共通テストは導入されて3年目であるため、過去問も多くは存在せず、試行調査をあわせても演習に適した問題は不足してしまうでしょう。そこで、東進ブックス共通テスト実戦問題集日本史をお勧めします。この問題集は、すべてがオリジナル問題で、2021~2023年度で実施された共通テストよりもやや複雑な、試行調査型の問題もあえて含める形にしています。さまざまな形式の良問に取り組めば、通史の学習の際にどのようなことを意識したらよいかが見えてくるはずです。日常の学習においては、教科書に掲載されているグラフ・表・絵画などを「ただ眺める」のではなく、「そこからどのような情報を導けるのか」を考察する習慣をつけるとよいでしょう。

「考えながら」覚える習慣をつけよう!
教科の性質上、日本史に暗記的要素が強いことは間違いありません。とはいえ、単純な暗記だけでは、知識は定着しづらく、入試問題への対応も危うくなります。日本史の学習において、最良のバイブルは教科書です。そのことを認識していても、教科書を精読する習慣を身につけている受験生はそれほど多くはありません。単純な作業のように思えてしまい、教科書を精読することが継続できないとすれば、それは、「考える」ことをしていないからだといってよいでしょう。共通テスト日本史Bでは、限られた時間内で正確に解答する力が求められます。そのためにも、「考える」日本史学習を習慣にしていきましょう。文化史(仏像彫刻)を例にとれば、仏像彫刻を把握していく際に、(1)ほかの時代で扱う仏像彫刻と比較する、(2)写真で確認してその特徴を考える、(3)当時の仏教はどのような性格をもっていたのかを把握する、(4)政治・外交・社会など他の分野との関連性を確かめる、など複数の視点で歴史を捉えることを意識して、読み方を変えてみましょう。そうして考えてみたことを自分でノートにまとめれば、立派なサブノートができあがっていきます。

模試を有効に活用しよう!
学習の習慣をつけるのは、容易ではありません。そこで勧めたいのが模試の受験です。東進の「共通テスト本番レベル模試」は、「全国統一高校生テスト」も含めると年間全6回実施されます。試行調査、今までに実施された共通テスト日本史Bや日本史Aのほか、共通テストに類似したセンター試験日本史Bの過去問も参考にしながら、多くの出題スタッフによって作成された東進の共通テスト本番レベル模試は、本番の共通テストで高得点を得るための不可欠なツールといってよいです。なお、「早慶上理・難関国公立大模試」「全国有名国公私大模試」も、それぞれ全5回、実施されます。新高3生を対象とした、直近の東進模試としては、第1回共通テスト本番レベル模試(2023年2月19日実施)や、記述式の高2レベル記述模試(2023年3月12日実施)などがあげられます。これらは、受験日本史に精通した作題者によって作成されています。学習のペースメーカーとするためにも、これらを受験しましょう。

 

【新高2生へ】

歴史に興味をもとう!
2023年1月、3回目の大学入学共通テストが実施されました。他の教科と同様に、日本史でも、「考える」学習の重要性が高まっています。新学習指導要領で新設された教科「歴史総合」でも、考えさせる「問い」が数多く設定されています。その背景にあるのは、現在・未来を考える上で「過去」を考え、認識することが不可欠である、という点です。コロナ禍のなかで、人類が直面した過去の感染症に注目が集まっています。また、近年では、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、中国、韓国、北朝鮮などの近隣諸国と日本との緊張がニュースになることも少なくありません。こうしたニュースを見聞きする際に、「どのような歴史的背景から、緊張が生じているのか」といった問題意識をもてば、歴史を学ぶことの意味や重要性を認識できるのではないでしょうか。「歴史なんて学ぶ意味がない」「過去のことを考えるのは面倒」などと否定的にとらえてしまえば、歴史総合や日本史探究は、当然つまらない教科になってしまいますし、得点も伸びていきません。大学入学共通テストでは、史料文、表・グラフ、写真・図などの資料を分析させたり、これらの理解を求めたりする出題が増加すると考えられます。まずは歴史に興味をもち、考察する姿勢を養いましょう。とはいえ、歴史に関心をもっていたとしても、みなさんは新課程入試の1年目にあたる受験生であり、「歴史総合+日本史探究」という、過去に出題例のないテストに取り組むことになるため、不安を払拭できないのではないでしょうか。そこで、次に具体的な学習法について触れておくことにします。

教科書を重視しよう!
まずは教科書を軸に学習を進めましょう。本文の精読が不可欠なのはもちろんですが、史料文や図、グラフなども重視して下さい。ただし、眺めるだけでは実力はつきません。そうした資料から何が導けるかなどについて、考察するようにしましょう。これまでのセンター試験に比べ、共通テストの出題形式は複雑になりました。限られた時間内で正確に解答する力が必要です。その力を養うためには、日常から多くの素材に触れておくことが不可欠です。歴史上の出来事は評価の難しいものが少なくありませんが、教科書には、日本の歴史が簡潔かつ客観的に記述されています。国際化が顕著となっている今日において、主観を排除した日本史の把握は、受験のためだけではなく、みなさんが社会人となったとき、ビジネスの場面で大きな役割を果たすことになるはずです。ただ、どうしても教科書を精読する習慣がつかない方もいるでしょう。その場合は、一度に多くのページを読もうとするのではなく、「今日は奈良時代の政治を把握する」、「明日は飛鳥文化を理解する」など、自らテーマを設定して読む部分を絞って精読し、教科書を閉じたあと、そこには何が書いてあったのかをノートにメモするようにしてみてください。こうした習慣は、やがて大きな力になっていきます。ただし、みなさんにとって悩ましいのは、歴史総合と日本史探究というように、対象となる教科書が2冊になっている点ではないでしょうか。特に、歴史総合の教科書にどう取り組むべきか、疑問を抱いている方が少なくないのではないかと思われます。世界の歴史を把握しつつ、日本の歴史を理解しようとすることには重大な意味があります。一方で、日本史探究の情報だけでもかなりの量があるため、歴史総合の教科書まで詳細に把握することは、困難とも考えられます。そこで、歴史総合の教科書は、中学歴史で学んだ情報の上に構成されているという点をふまえ、世界史的性格をもつ情報については、中学歴史でふれたことのある知識を中心に、理解を深めるといった姿勢で取り組むとよいでしょう。未実施の試験であるため、断定的なことはいえないものの、2022年11月に発表された歴史総合+日本史探究の試作問題では、世界史的な情報については、中学歴史のレベルで対処できるものがほとんどでした。早い時期から基本的な知識を正確に身に着けるようにし、本番で十分に得点できるように準備していきましょう。

模試を有効に活用しよう!
2021~2023年に実施された大学入学共通テスト日本史Bは、過去問がほとんど存在しない試験です。また、みなさんが受験する共通テスト歴史総合+日本史探究は、過去問が全く存在しません。しかし、東進の共通テスト本番レベル模試は、2022年11月に発表された歴史総合+日本史探究の試作問題などをふまえ、出題される問題を想定しながら作成されているため、早い段階から受験しておけば、そうした不安を払拭できるはずです。また、高得点をめざすのであれば、多様な出題形式に慣れておくために、共通テスト本番レベル模試だけでなく、さらにさまざまな模試の受験を検討しましょう。与えられた資料を分析して論述する問題を含む早慶上理・難関国公立大模試、基本的な日本史の知識を確認できる全国有名国公私大模試などの受験は、共通テストを含め、日本史の得点力を確実に高める役割を果たすでしょう。東進では、「共通テスト本番レベル模試」と「全国統一高校生テスト」をあわせると全6回、「早慶上理・難関国公立大模試」「全国有名国公私大模試」はそれぞれ全5回実施されます。これらは、受験日本史に精通した作題者によって作成されており、近年出題が増加している、読解タイプの問題が数多く含まれています。また、「解答解説」では、初学者でも理解しやすいように、(1)図や表を用いる、(2)ルビを多くふる、(3)理解を深めてもらうための【参考】や【整理】を設ける、といった工夫が施されています。受験会場の雰囲気にふれたり、成績がどのような状態にあるのかを把握したりすることは、モチベーションの向上につながります。学習のペースメーカーとするためにも、東進の模試を受験しましょう。

2023年 1月 14日 ★☆★【世界史B】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


 

【全体概観】

資料を多用した「思考力を問う問題」が多く、解答に時間を要す出題であった。

大問は5問、設問数は34問と昨年度から変化は無かった。出題形式に関しては、資料(地図、絵画、写真、史料、グラフ・表)の数は21と、2022年の12、2021年の17より増加した。会話文による出題数も9と、2022年の5、2021年の3に比べて増加した。資料を読解しつつ知識を合わせて考えないと解答にたどり着けない「思考力」を問う問題も昨年と同様に多く出題されている。
 出題形式の変化としては、昨年度出題が無かった表形式の選択問題と年代整序問題がそれぞれ1題ずつ出題された。また、出題内容としては、家系図を用いて考察させる問題が、新たに出題された。
 全体として、時代、地域、分野ともにバランスのとれた出題であったが、リード文や資料をしっかりと読解しなければ解けない問題が大半を占めたため、曖昧な知識だと試験時間内に余裕をもって解き終わることは難しかったであろう。しかし、解答を導くために細かい知識が必要なわけではなく、センター試験と同様、あくまでも基本的な知識のみで解答できる。模試などを活用して共通テスト型の問題に慣れていたかどうかが、高得点へのカギとなるだろう。  

【設問別分析】

【第1問】歴史の中の女性
 Aは女性参政権に関して、Bは顔之推の『顔氏家訓』を用いた会話文形式のリード文であった。Aでは20世紀以降についての幅広い知識が問われた。Bでは中国についての設問を中心に、解答を導くために資料の読解が不可欠である問題が出題された。全体的に、近代史や文化史の知識など受験生が手薄になりがちな知識が求められた。

【第2問】世界史上の君主の地位の継承
 Aは王家の紋章や家系図を、Bはファーティマ朝のカリフについての資料を用いたリード文であった。Aでは資料の読解に加えて考察力を問う問題が出題された。Bではイスラーム世界についての設問を中心に幅広い知識が問われた。全体的に、世界史の基礎的な知識に基づく考察力が求められた。

【第3問】歴史知識に関する議論
 Aはフランスの統治者であった人物について、Bは科挙について、Cは中国における書籍分類の歴史についての会話文形式のリード文であった。Aはフランスについての設問を中心に、地図問題も出題された。Bでは中国についての基礎的な知識が幅広く問われた。Cでは中国で編纂された書籍を題材として、資料の読み取りと文化史の知識を併用して解く設問が出題された。全体的に、資料を読解しなければ解けない問題が多く、解答するのに時間を要したであろう。

【第4問】歴史資料についての考察
 Aは貨幣の図版を用いた会話文を、Bはマラトンの戦いについての資料を用いた会話文を、Cはブリテン島の修道士ベーダが執筆した著作を用いてのリード文であった。Aでは中世についての設問を中心に幅広い知識が問われた。Bでは古代ギリシア・ローマについての基礎的な知識が幅広く問われた。Cでは資料の読解問題や年代整序問題が出題された。全体的に、古代から中世の時代を中心とした世界史の基礎的な知識に基づく考察力が求められた。

【第5問】歴史統計
 Aは東南アジアにおける4つの植民地の主要な輸出先とその比率を示した表を、Bは1600年から1801年にかけてのイングランドの人口統計の表を用いてのリード文であった。Aでは近現代史を中心に、幅広い地域についての知識が問われた。Bでは表中の数値やグラフを用いて考察させる問題が出題された。全体的に、世界史の基礎知識とともに表やグラフの読解力が求められた。

【新高3生へ】

◆大学入学共通テストの基本は教科書
 大学入学共通テストでは、資料を読解しつつ世界史的な知識を連動させないと解答にたどり着けない「思考力」を問う問題が多く出題されます。リード文・素材文・資料には一見すると難解な内容が含まれていることもありますが、各設問・選択肢は教科書の内容から出題されています。つまり、授業をしっかりと受けて、基礎を固めることができれば容易に問題を解くことができるのです。

◆歴史の基本の流れを押さえ、基礎を固めよう
 大学入学共通テストは幅広い地域・分野から出題されます。それぞれの地域・時代の基本事項を押さえることが学習の出発点となります。教科書をしっかりと読み、太字の部分を中心に歴史の大きな流れをつかみましょう。一度に全てを覚えようとするのは無理なので、何度も読み込んで知識を深めていきましょう。同時に資料集を利用して、地理的な理解を含め、視覚的に捉えることも効果的です。自分の頭の中に当時の様子がイメージできるようにしましょう。
 単に語句を暗記するのではなく、歴史のタテ(時間的な前後関係)・ヨコ(同時代の異なる地域の出来事)の関係に注目して学習を進めることが大切です。大学入学共通テストでは同時代(世紀)の異なる地域の出来事について問う問題が複数ありますので、年表を読み世界全体の動きについて把握し、さらに自分でノートにまとめ直してみましょう。また、周辺地域史や文化史のような教科書では簡潔に述べられている部分についての出題の可能性もあります。基本事項を1つ1つ確認し、そこから派生した学習を進めることで広い知識を身に着けることができれば、高得点が期待できます。
 普段から新聞・テレビ・インターネットなど各メディアのニュースを見て、世界の出来事について関心を持つようにしましょう。民族紛争・地域紛争など世界史上の事件が原因となっているものもあります。「世界史B」は試験直前まで得点の伸びが期待できる科目です。継続して学習し、最後まで粘り強く取り組みましょう。

◆写真、年表、グラフ、史料などを意識して見よう
 大学入学共通テストでは写真、年表、グラフ、史料などが多用されます。日ごろの学習の際に、資料集などを使用して、この出来事はどのような時系列で起きたのかを年表で確認する、掲載されているグラフを歴史的な視点で読み解く練習をするなど、資料に親しむ習慣をつけていきましょう。

 ◆問題演習の積み重ねが大切 大学入学共通テストでは、限られた時間内に正確に解答する力が求められます。出題形式は正誤判定問題のほか、年代整序問題、空欄に補充する適語・適文の組合せ問題など様々な種類があり、選択肢は4つないし6つです。教科書には記載のない事項を使った選択肢が出題される場合もありますが、他の選択肢についての正確な理解があれば、消去法で正解にたどり着くことも可能です。問題に慣れておくためには、あらゆる過去問に触れておきましょう。2022年度本試・追試、2021年度第1日程・第2日程、2017年・2018年の試行調査、2020年度以前のセンター試験、さらには東進の「共通テスト本番レベル模試」を継続して受験することが重要です。過去問や模擬試験を通して時間配分や問題を解く感覚をつかみ、本番に備えましょう。はじめのうちは思ったような得点が取れないと思いますが、結果だけにこだわらず、不正解の部分をしっかりと復習して苦手分野を1つずつ解消していきましょう。

【新高2生へ】

◆皆さんが受ける年から出題傾向が変わる可能性が高い
 皆さんが受ける2025年度の大学入学共通テストは、科目名がそれまでの「世界史B」から「歴史総合・世界史探究」となり、その名の通り、「歴史総合」「世界史探究」両方からの出題となります。2022年11月に大学入試センターから公表された、新課程の「試作問題」は必ず見ておきましょう。今の共通テスト以上に資料の読解問題の数が増加しただけでなく、「主体的で対話的な深い学び」に即した場面設定が増えるなど、今までの共通テストよりもさらに「探究」の資質が問われる出題になっています。こういった問題への対策としては、基本的な通史の知識を身につけながら、「この事象の原因はそもそも何だろう?」と考察をする習慣をつけていくことが大切です。

◆写真、年表、グラフ、史料などを意識して見よう
 大学入学共通テストでは、写真、年表、グラフ、史料などが多用され、それらをもとにして、読解したり考察したりする「論理的思考力」を求める出題があります。日ごろの学習の際に、資料集などを使用して、この出来事はどのような時系列で起きたのかを年表で確認する、掲載されているグラフを歴史的な視点で読み解く練習をするなど、資料に親しむ習慣をつけていきましょう。


◆世界・歴史に関するものに触れよう
 単に語句を暗記するのではなく、歴史のタテ(時間的な前後関係)・ヨコ(同時代の異なる地域の出来事)の関係に注目して学習を進めることが大切です。大学入学共通テストでは同時代(世紀)の異なる地域の出来事について問う問題が複数ありますので、年表を読み世界全体の動きについて把握し、さらに自分でノートにまとめ直してみましょう。また、周辺地域史や文化史のような教科書では簡潔に述べられている部分についての出題の可能性もあります。基本事項を1つ1つ確認し、そこから派生した学習を進めることで広い知識を身に着けることができれば、高得点が期待できます。
 普段から新聞・テレビ・インターネットなど各メディアのニュースを見て、世界の出来事について関心を持つようにしましょう。現在の世界での事件の中には、過去の歴史が原因となっているものもあります。どうしてこうなったのかなどについて調べてみましょう。

◆問題演習をしてみよう
 大学入学共通テストでは、膨大な資料・問題文などを、限られた時間内に正確に読み、解答を導く力が求められます。出題形式は正誤判定問題のほか、年代整序問題、空欄に補充する適語・適文の組合せ問題など様々な種類があり、選択肢は4つないし6つです。教科書には記載のない事項を使った選択肢が出題される場合もありますが、他の選択肢についての正確な理解があれば、消去法で正解にたどり着くことも可能です。
 このような問題に慣れておくために、今まで出題された共通テスト「世界史B」の過去問に取り組んでみましょう。また、東進の「共通テスト本番レベル模試」を継続して受験することが重要です。はじめのうちは思ったような得点が取れないと思いますが、解答・解説をよく読み、しっかりと復習して苦手分野を1つずつ解消していきましょう。

2023年 1月 14日 【ご案内】共通テスト解答速報&受験後の弱点克服プログラム

 

2022年 12月 31日 【無料招待!】共通テスト同日体験受験しませんか?

共通テスト試験同日体験受験

こんにちは東進ハイスクール柏校です!

 

冬の寒さをひしひしと感じられる日が続きますね。

体調を崩さないように気をつけて行きましょう!

 

さて突然ですが、みなさんは

1月14,15

と聞いて何の日付かわかりますか?

 

1月14,15

   大学入学共通テストの日です!!

 

そして東進ハイスクールでは

高校1,2年のみなさんのために

大学入学共通テスト同日体験受験

を実施します!!

 

これは実際に今年度受験を控える受験生と、

同じ問題を、同じに、同じような緊張感の下

挑戦できる模試になります!

 

このように大学入学共通テストと同じ日に同じ問題を

無料で全国の受験会場で挑戦できるのは

東進ハイスクールだけです!

 

夢と志望校合格のための一歩を踏み出してみませんか?

 

同日体験受験お申込みはこちらから↓

共通テスト試験同日体験受験