校舎からのお知らせ | 東進ハイスクール 柏校 大学受験の予備校・塾|千葉県 - Part 6

校舎からのお知らせ 2023年01月の記事一覧

2023年 1月 15日 ★☆★【物理基礎】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

 

【全体概観】

出題分野は、第1問は小問集合、第2問は力学、第3問は電気であった。設問数は増加したが、マーク数は減少した。

 大問3題の構成で出題された。昨年と異なり、教科書の例題に記載されているような典型問題が多く出題され、共通テストになってから出題されていた現象を考察させるような問題や、対話文形式の出題もみられなかった。複数の式を連立する必要がある問いなどひねった問題は出題されていたが、知識のみで解答することができる問題も多く、深い考察よりも幅広い知識を問われていた。

 第1問は小問集合であり、力学、波動、熱からの出題であった。問2は弾性力についてではなく弾性力による位置エネルギーを求めさせており、問題文をしっかりと読まないと失点につながる問題であった。

 第2問は落体の運動の問題から出題され、鉛直方向の運動だけでなく水平投射からも出題された。問4の問題以外はほとんど計算がいらない問題であり、基本的な知識を簡潔に問われている問題が多かった。

 第3問はエネルギーとその利用および、送電の仕組みから出題された。問2において電力と電力量の違いについての理解を問う出題については難度が高いと思われる。

 


【設問別分析】

【第1問】小問集合
 第1問は、昨年と同様に物理基礎のさまざまなテーマを扱った小問集合であった。今年は、数値計算、グラフの読み取り、グラフ選択など様々な形式で出題された。
問1は、運動方程式の問題である。箱Bにのみ注目して、右向きに一定の加速度が生じることから解答を選べばよい。物体に働く力が正しく認識できているかが問われた。
問2は、力のつり合いと力学的エネルギーに関する問題である。計算自体はそこまで難しくないが、問われている物理量が力ではなく、弾性力による位置エネルギーであることに注意が必要であった。
問3は、熱と仕事に関する問題である。変化後に気体の温度が上昇していることを問題文から認識し、内部エネルギーへの影響が正しく認識されているかを問われた。
問4は、弦の固有振動に関する問題である。「4倍音を利用して調律を行う」という表現に惑わされずしっかりと得点してほしい問題であった。

【第2問】電気
 落体の運動と水平投射からの出題であった。
問1は、水平投射において水平方向の運動は等速であることを問う問題。
問2は、水平投射において鉛直方向の速さと時間の関係を表すグラフを問う問題。
問3は、水平方向の初速度を変化させた場合の、落下時間とエネルギーに及ぼす影響について考察する問題。
問4は、自由落下と鉛直投げ上げを比較する問題。少し計算が複雑であるが、速さと時間の関係を表すグラフを利用して解くと簡潔に処理できる問題であった。
問5は、自由落下と鉛直投げ上げにおけるエネルギーの大小関係を求める問題。誘導に沿って考えればよい。

【第3問】力学、熱力学、電気
 エネルギーの変換、変圧器と送電の仕組みについての問題であった。昨年の対話文形式から出題形式の変更があった。
問1は、エネルギーの変換からの出題。太陽光発電は太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換していることを理解していればよい。
問2は、電力量を計算させる問題。電力量の単位〔kWh〕について、しっかりと理解が出来ているかを問われた。
問3は、送電の仕組みの問題。抵抗での消費電力は、電流の2乗に比例し、発電所での供給電力は電圧と電流の積で表せることをしっかりと理解している必要があった。
問4は、変圧器の問題。変圧器の仕組みをしっかりと理解しているかを問われた。


【新高3生へ】

◆大学入学共通テストも教科書からの出題
 2021年から始まった大学入学共通テストでは、たとえば実際に実験を行いそのデータを処理する能力など、新傾向といわれる問題形式や問い方が出題されるようになりました。このような問題を解くためには、自然現象に対して興味をもって観察し、考察する力が必要になります。日頃から実験での体験や映像で目にしたことを深く考察することを怠らないようにしましょう。実験や参考の項目も含め教科書は隅から隅まで目を通しておくようにしましょう。

◆現象を物理学的に正しく捉えることを心がける
 「物理基礎」は、力学、熱、波動、電気についての基本内容、エネルギーの利用などを扱います。専門的な内容は「物理」で扱うため、物理基礎は日常的な内容が中心となります。「物理」のように、計算を通じて複雑な現象を解析する問題はほとんどありません。「物理基礎」においては「自然現象を物理学的に捉えることができるか」が主題とされており、計算はわずかです。数学と異なり自然現象を扱っているため、物理計算には現象にそった意味合いがあります。ただ解法を覚えるだけでなく、式の意味の理解に努めましょう。教科書では、図や写真を多用して現象の捉え方を丁寧に説明しています。計算問題を解く前に、時間の経過とともにどのように現象が起こっていくのかを想像するようにしましょう。

◆基本問題から解いていく
 現象の捉え方についての考察をしてから問題演習を行うと「物理基礎」に関する理解が深まります。いきなり実践的な問題を解くのではなく、教科書の例題のような基本問題から始めるのが重要です。演習の際には「解説を読んでわかった」で終わりにすることなく「現象を物理学的に正確に捉えられているか」を自問自答しながら慎重に進めていきましょう。「答えが出たらおしまい」という考え方を捨て、「何が原因で、何が起きたのか」を丁寧にひとつひとつ明らかにしましょう。

◆模試を受験して、共通テストの出題形式と傾向に慣れる
 物理基礎の学力が身についたとしても、共通テストの出題傾向や形式に戸惑って実力が十分に発揮できないと、それまでの努力が報われません。また、「物理基礎」とそれ以外の基礎科目を合わせて解答時間が60分なので、時間配分にも慣れておかないといけません。共通テスト本番で実力を発揮するためにも、出題形式や出題範囲が同じ「共通テスト本番レベル模試」を受験し、共通テストの出題形式や時間配分に慣れておきましょう。過去問がまだ十分には存在しない現在、全国統一高校生テストを含めて年間6回実施される「共通テスト本番レベル模試」は有効な演習の機会となります。もちろん、模試は受けっぱなしにするのではなく、不正解だった問題や偶然正解した問題について復習することも重要です。出来なかった問題を復習し、類題が解けるようになれば、更なる高得点が期待できます。


【新高2生へ】

◆大学入学共通テストも教科書からの出題
 2021年から始まった大学入学共通テストでは、たとえば実際に実験を行いそのデータを処理する能力など、新傾向といわれる問題形式や問い方が出題されるようになりました。このような問題を解くためには、自然現象に対して興味をもって観察し、考察する力が必要になります。日頃から実験での体験や映像で目にしたことを深く考察することを怠らないようにしましょう。実験や参考の項目も含め教科書は隅から隅まで目を通しておくようにしましょう。

◆物理基礎とは
 「物理基礎」は、力学、熱、波動、電気についての基本内容、エネルギーの利用などを扱います。さらに専門的な科目である「物理」があるため、「物理基礎」は日常的な内容が中心となります。物理は、教科書等に出てくる知識や式を記憶するだけでできるようになる科目ではありません。物理現象や式の意味を正しく理解し、整理することが必要です。

◆中学理科の物理分野を確認しておく
 「物理基礎」の内容は、中学校で学んだ理科の物理分野が基礎となります。物理は積み上げ型の科目ですから、基礎となる中学理科の理解が不十分だと、「物理基礎」の理解も難しくなります。したがって、「物理基礎」の学習を始める前にまず行うことは、中学理科の復習です。中学理科では、力学、波動、電磁気などの内容を学んでいます。中学の内容だからと言って軽んじることなく、復習してみると忘れている知識やあいまいな内容がいくつもあることに気づかされるはずです。このような不完全な学習項目をそのままにしておかず、復習してより理解を深めることで、「物理基礎」の学習のスタートラインに立てると言えます。

◆まず授業や教科書を活用する
 「物理基礎」は、自然現象の基本的な理解や把握、日常生活の中で物理の解釈がどう活かされているかが問われる科目です。「物理基礎」の学力を向上させるためには、まず教科書の内容を十分に理解することが大切です。そのためには普段の授業をしっかりと活用することが重要です。授業の予習・復習によって「物理基礎」の学力を身につけ、教科書の演習問題を解けるようにしておく必要があります。一見、地味に感じるかもしれませんが、物理は積み上げ型の科目です。地道な努力の積み上げが合格につながります。

2023年 1月 14日 ★☆★【リスニング】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


【全体概観】

大問数、設問数、マーク数、配点とも変化なし

 全体としては昨年と変わらず大問6問構成であった。昨年と同様、第1問、第2問は2回読み上げ、第3問~第6問は1回読み上げであった。また、イラストを選択する問題が昨年と同じく、第1問Bと第2問で出題された。第4問A問18~21は昨年と異なり、やや長い英文の読み上げを聞き取り、グラフを正しく完成させる問題であった。これは2021年度に出題されたものと同じ形式の問題であった。イラストや、表、グラフなどを組み合わせた問題が多く、読み上げ文を正確に聞き取った上で、情報を的確に処理する力が求められる。


【設問別分析】

【第1問】A 短い発話の内容に合う英文を選ぶ、B 短い発話の内容に合うイラストを選ぶ
A、Bいずれも短い発話を聞き、発話内容の概要や要点を正しく把握した上で最も適切な選択肢(Aでは文、Bではイラスト)を選択する問題。読み上げ文はすべて15語未満と短く、使用される語句も英検3級レベルの平易なものが中心であった。語と語のつながりを解釈し、発話全体の意味を正しく理解する力が求められる。

【第2問】短い対話の内容に合うイラストを選ぶ
短い対話とそれについての問いを聞き、最も適切なイラストや図を選ぶ問題が4題出題された。あらかじめ日本語で書かれている対話の場面をヒントに、状況を正しく理解し、イラスト、図に含まれる要素の差異を判断する力が問われる。第1問同様、スクリプトで使用されている語句は平易なものが多いので、落ち着いて取り組めば難しい問題ではなかったであろう。

【第3問】短い対話の内容について、質問に対する答えを選ぶ
短い対話を聞き、あらかじめ英文で書かれた問いの答えとして最も適切な選択肢を選ぶ問題が6題出題された。第1問、第2問と異なり読み上げ回数が1回なので、重要な情報を聞き逃すことがないよう、聞き始めから集中して臨むことが重要である。

【第4問】A やや長めの発話の内容に沿って、情報を整理する、B 複数の発話を比較して、条件に最もふさわしい発話を選ぶ
Aは80語程度の発話を2つ聞き、ワークシートのグラフや表の空所に正しい情報を当てはめる問題であった。Bは複数の発話を聞き、与えられた条件に最も合う発話を選択する問題であった。いずれも読み上げられる英文を、状況・条件に基づいて比較し、判断する力が問われる。Bでは日本人と思われる非ネイティブによる発話が含まれていた。

【第5問】社会的話題に関する講義を聞き、質問に対する答えを選ぶ
アジアゾウについての講義を聞き、(1)要点をまとめたワークシート(空所5箇所)を完成させる問題、(2)講義の内容と一致する選択肢を選ぶ問題、(3)図を見ながら講義の続き(グループによる発表)を聞き、どのようなことが言えるかを答える問題が出題された。220語程度の英語の講義を聞きながら、要点を把握して内容をまとめる力や、図の情報と組み合わせて総合的に考え、判断する力が問われている。

【第6問】A 2人の会話を聞いて、質問に対する答えを選ぶ、 B 長めの会話・議論を聞いて、質問に対する答えを選ぶ
Aは親子の会話を聞き、話者の発話の要点を問う問題であった。Bは4人の意見交換を聞き、A同様に話者の要点を問う問題に加え、複数のグラフや表を識別する問題も出題された。話者の立場や意見を正しく把握する力、会話の概要や要点を理解して、情報を整理する力が問われる。


【新高3生へ】

大学入学共通テスト(以下共通テスト)では、リスニングもリーディングと同様100点満点で、多くの大学が配点通り1対1の得点比率としています。そのため、しっかりとしたリスニング対策が必要です。共通テストリスニングの特徴としては、英検2級レベルまでの語彙が範囲となること、英文が一度しか読み上げられないパートがある(第3問~第6問)こと、などが挙げられます。特に一回読みの部分では、音声が流れる前にいかに聞く「準備」ができているか、が重要です。選択肢の内容や設問文に事前に目を通し、そこから話の内容を類推しておくことが大切になります。

【今後の学習方針】
 共通テストリスニングの対策として、まずは話されている内容を理解するために必要な語彙力、文法力を固めることが大切です。共通テストでは、語彙や文法の知識は習得できている前提で、その知識を「正しく」活用できているか、その知識を使って情報を整理できるか、といった力が問われます。遅くとも高3の1学期までには英検2級レベルの語彙や英文法の学習は一通り終えましょう。その際、読んだり書いたりすることだけで覚えるのではなく、「聞いたり」「話したり」することで正しい音を意識しながら知識を定着させることが重要です。既にインプットし終えた人は二巡三巡と繰り返しながらアウトプット(実践演習)をおこない、理解力を高めていきましょう。

【学習法アドバイス】
 リスニングの力は、英語を聞かなければ伸ばすことはできません。したがって、日頃から習慣的に英語を聞く訓練を積んでいくことが大切です。1日10分でも、継続して毎日耳を鍛えることがリスニング力の向上につながります。現在高2生である皆さんは、今日からでも「聞く訓練」を始めていきましょう。素材は何でもかまいませんが、聞き取りに慣れていない人は、短い文や会話から始めるとよいでしょう。初めのうちは、次々に新しいものを聞くよりも、同じ素材を繰り返し聞いて、英語独特のリズムとイントネーションを身につけるようにしましょう。以前に解いたことのある模試の音声や、学校の教科書の音源等も積極的に活用してください。
 短文ならある程度聞き取れる人は、長めの会話や文章の聞き取りを行い、英語を英語の語順のまま処理していく力を高めましょう。耳を慣らすためには、漫然と音を聞くのではなく、積極的にその音をまねて自分でも発音してみることが効果的です。ただ音読するのではなく、意味を意識しながら読むこと、できるだけ元の音源のスピードや発音に近づけて読むことで、よりリスニング力が高まります。
 また、試験では、常に展開を予測しながら能動的に耳を傾ける姿勢が大切です。すべてを聞き取ろうとするのではなく、何を聞き取るべきなのか、聞き取るポイントを定めて聞く練習をしましょう。模試を定期的に受験し、実践形式で練習を重ねてください。

 

【新高2生へ】

 大学入学共通テスト(以下共通テスト)では、リスニングもリーディングと同様100点満点で、多くの大学が配点通り1対1の得点比率としています。そのため、しっかりとしたリスニング対策が必要です。共通テストリスニングの特徴としては、英検2級レベルまでの語彙が範囲となること、英文が一度しか読み上げられないパートがある(第3問~第6問)こと、などが挙げられます。これからの日々の学習の中に、リスニング対策の時間も組み込んでいきましょう。さらに、昨年11月に公表された令和7年度大学入学共通テスト試作問題では、講義の要旨を他者と口頭で確認し合ったり、自身が行った調査を踏まえてディスカッションを行ったりするといった場面設定がなされました。このように、他者と認識を一致させたり、資料を用いた議論を行ったりするなど、「探究的な場面」での英語コミュニケーションの力がより問われることが予想されます。

【今後の学習方針】
 共通テストリスニングの対策として、まずは話されている内容を理解するために必要な語彙力、文法力を固めることが大切です。共通テストでは、語彙や文法の知識は習得できている前提で、その知識を「正しく」活用できているか、その知識を使って情報を整理できるか、といった力が問われます。まずは、遅くとも高2の夏までに英検2級レベルの語彙や英文法のインプットを一通り終わらせましょう。その際、読んだり書いたりすることだけで覚えるのではなく、「聞いたり」「話したり」することで正しい音を意識しながら知識を定着させることが重要です。高2の内から模試や過去問を利用して問題を解く経験を積んでいくことで、リスニングへの対応力を高めていくことが出来ます。

【学習法アドバイス】
 リスニングの力は、英語を聞かなければ伸ばすことはできません。したがって、日頃から習慣的に英語を聞く訓練を積んでいくことが大切です。1日10分でも、継続して毎日耳を鍛えることがリスニング力の向上につながります。聞き取りに慣れていない人は、短い文や会話から始めるとよいでしょう。初めのうちは、次々に新しいものを聞くよりも、同じ素材を繰り返し聞いて、英語独特のリズムとイントネーションを身につけるようにしましょう。学校の教科書の音源や以前に解いたことのある模試の音声等も積極的に活用してください。短文ならある程度聞き取れる人は、長めの会話や文章の聞き取りを行い、英語を英語の語順のまま処理していく力を高めましょう。耳を慣らすためには、漫然と音を聞くのではなく、積極的にその音をまねて自分でも発音してみることが効果的です。ただ音読するのではなく、意味を意識しながら読むこと、できるだけ元の音源のスピードや発音に近づけて読むことで、よりリスニング力が高まります。
また、試験では、常に展開を予測しながら能動的に耳を傾ける姿勢が大切です。すべてを聞き取ろうとするのではなく、何を聞き取るべきなのか、聞き取るポイントを定めて聞く練習をしましょう。模試を定期的に受験し、実践形式で練習を重ねてください。

2023年 1月 14日 ★☆★【リーディング】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


【全体概観】

大問数は変化なし。設問数は2問、マーク数は1つ増加。大問の配点も昨年と同じ。

出題形式は昨年と同じ。大問6題からなる構成で、配点にも変化はなかった。設問数は2問増加し、マーク数は1つ増加した。
 出題内容は、学校のプリント、サマーキャンプに関するウェブサイト、クラブのニュースレター、室内レクリエーションの準備に関するブログ記事など身近な話題を扱った英文から、人がものを集めることやクマムシに関する記事といった説明的文章まで多様な題材であった。ほぼすべての大問で図表が使用されており、複数の情報源から概要・要点を把握する力が求められた。
 英文の語数は、第1問~第3問はそれぞれ約160語~350語となっている。第4問は約600語、第5問は約700語、第6問Aは約640語、第6問Bは約760語であった。試験全体の総語数は昨年より少し増加し、約6000語であった。


【設問別分析】

【第1問】A プリントの読み取り B ウェブサイトの読み取り
  Aは午後のアクティビティについて書かれた学校のプリントから、必要な情報を探し出したり、2つのアクティビティに共通する情報を読み取ったりする問題。Bはサマーキャンプについてのウェブサイトから、設問で与えられた条件をもとに必要な情報を探し出す問題。Aは160語、Bは280語程度の英文からの出題であり、昨年より総語数が増加した。

【第2問】A ウェブサイトの読み取り B レポート文の読み取り
 Aは、最新式の靴のウェブ広告を読み取り、商品の情報や顧客のコメントについて正しい選択肢を選ぶ問題。Bは効率的に時間を使うことについてプロジェクトのレポート文を読み、英文で言及されている事実を含む選択肢を選んだり、プロジェクト参加者の意見について正しい選択肢を選んだりする問題。A・Bいずれも300語程度の英文からの出題。A・Bともに、英文中に記載された複数の情報を客観的に判断し区別するなど、英文理解はもとより、英文を理解したうえでの思考力・判断力によって差がつく問題となっている。

【第3問】A ニュースレターの読み取り B ブログ記事の読み取り
 Aはキャンプの準備に関して書かれたクラブのニュースレターからアドバイスを読み取って、最適な選択肢を判断する問題。本文の内容をもとに、最適なイラストを選択する問題が出題された。本文とイラストの両方から情報を掴むことが必要である。Bは室内レクリエーションの準備に関するブログ記事を読み、出来事を時系列に沿って整理したり、本文の概要を把握したうえで最適な選択肢を判断したりする問題。Aは220語、Bは330語程度の英文からの出題。

【第4問】複数の記事の読み取り
 文脈学習についての記事と反復学習についての記事を読んで、その趣旨を読み取る問題。いずれの記事も表やグラフを掲載しており、2つの記事の主張する内容の相違点や一致点を把握した上で取り組む問題が出題された。英文の総語数は約600語程度であった。

【第5問】随筆文の読み取り
 
ディスカッションの題材として、あるイギリス人高校生によって書かれたエッセイ風の文章を読み、要約ノートに沿って情報を整理する問題。昨年同様、出来事を時系列で並び替える問題が出題された。本文も基本的には時系列で書かれているが、文章前半部分で時系列が前後する部分があるため、出来事の順を正しく追うことが大切である。語数は650語程度。ノートが本文を要約したもののため、内容把握の助けになる。空所に入れるべき細かい情報を拾いつつ、概要や本文の構成など大まかな情報を掴む必要がある。


【第6問】A 説明的文章の読み取り B 説明的文章の読み取り
  論理的な文章を読み、その要点を把握・整理する問題。Aは人が物を集めることについての記事を読み、概要のまとめノートを、空所(5箇所)に適するものを選んで完成させる問題。Bはクマムシについての文章を読み、プレゼンテーション用スライドを、空所(5箇所)に適するものを選んで完成させる問題。スライドには、クマムシの体の構造を示す図が含まれる。英文はAが640語、Bが760語程度。文章の論理展開を把握し、文章の全体像を理解して要約する力が問われている。


【新高3生へ】

大学入学共通テスト(以下共通テスト)のリーディングは、長文読解が中心となります。文法・語法などの知識を直接問う問題は出題されていませんが、だからといって文法や語彙の重要性が低くなったわけではありません。それらの知識を前提として、与えられた英文・イラスト・写真・グラフなどから必要な情報を読み取って正しい選択肢を判断する能力が必要となります。また、短時間で多くの情報を処理する能力も必要になります。

【今後の学習方針】
 対策として必要なことは、まず文法や語彙の知識を身につけ盤石なものにすること。次に、四技能を使いながらたくさんの英文に触れ、その知識を「正しく」「迅速に」活用する練習をすること。これにより、文法・語彙ともに本質的に理解できるようになっていきます。遅くとも高3の1学期までには英検2級レベルの語彙や英文法を一通りインプットしましょう。既にインプットし終えた人は二巡三巡と繰り返しながらアウトプット(実践演習)をおこない、理解力を高めていきましょう。

【学習法アドバイス】
 文法や語彙の学習の際には、その品詞や意味を確認するだけでなく、例文を使用し、音読しながら覚えていくことが有効です。これにより、正しい意味や用法パターンが身につき、記憶にも残りやすくなります。また、似たような意味を持つほかの語彙も積極的に覚えましょう。英文では繰り返し同じ語彙を使用することが避けられるので、言い換え表現を身につけることで英文を読むスピードが上がり、設問で正しい選択肢を選ぶ際にも有効となります。文法や語彙の学習は、それが習慣化されるくらい必ず毎日継続してください。朝の起床後は音読学習、夜の就寝前は知識の確認をする、など1日のうちに複数回学習の時間を確保することで知識が定着しやすくなります。受験直前までこの習慣を続けることが重要です。
 文法や語彙の知識が身についてきたら、長文読解において、まずは1文ずつ文構造を正しく捉える力を鍛えていきましょう。そのためには、英文を読む際に、主語・動詞・修飾関係などに注意して読み解く訓練をすることが重要です。英文の構造や内容を把握した上で、音読練習をしていきましょう。何度も音読することで、構文の型が定着するだけでなく、英文理解のスピードを上げることにもつながります。次に、まとまりのある長めの文章の内容を正確に把握し、得た情報を整理するためには、誰が、どういった主旨の発言をしているのか、そのトピックに対して賛成なのか反対なのか、その内容は事実なのか意見なのか、などに着眼したり、要点を簡潔にまとめたりする練習が有効です。まずは今回の共通テストの復習をしっかり行った上で、模試をできるだけ多く受験し、実践形式での経験を重ねていきましょう。

 

【新高2生へ】

大学入学共通テスト(以下共通テスト)のリーディングは、長文読解が中心となります。文法・語法などの知識を直接問う問題は出題されていませんが、だからといって文法や語彙の重要性が低くなったわけではありません。それらの知識を前提として、与えられた英文・イラスト・写真・グラフなどから必要な情報を読み取って正しい選択肢を判断する能力が必要となります。また、短時間で多くの情報を処理する能力も必要になります。全文を精読するのではなく、必要な情報だけを拾いにいくスキャニングという読み方を習得しましょう。さらに、昨年11月に公表された令和7年度大学入学共通テスト試作問題では、1つの議題に対して様々な観点の意見を読んだ上で特定の立場に立ち、その主張を補強するために複数の資料を活用する問題が出題されました。また、自分が作成しているエッセイに教師の指摘を反映させる状況設定もなされました。このように、様々な意見に耳を傾けたり、目的をもって資料を読む、自分の主張を明確にし、効果的に発信するといった「探究」という行為を英語で行う力が求められていくと予想されます。

【今後の学習方針】
 対策として必要なことは、まず文法や語彙の知識を身につけ盤石なものにすること。次に、四技能を使いながらたくさんの英文に触れ、その知識を「正しく」「迅速に」活用する練習をすること。これにより、文法・語彙ともに本質的に理解できるようになっていきます。遅くとも高2の夏までに英検2級レベルの語彙や英文法のインプットを一通り終わらせ、高2の夏以降はより多くの英文に触れつつその内容を二巡三巡と繰り返し演習していきましょう。その後は模試や過去問を利用して、問題を解く経験を積んでいきましょう。

【学習法アドバイス】
 文法や語彙の学習の際には、その品詞や意味の理解だけでなく、正しい音を意識しながら声に出して覚えていくことが有効です。正しい音が定着することで、リスニング力向上にもつながります。また、単語だけを覚えるのではなく例文を使用しながら覚えていくようにしましょう。1日に学習する量の目安や「いつ」学習するのかを決め、それが習慣になるくらい、毎日学習を継続してください。この習慣が早いうちに身につくかどうかが、受験成功のカギを握っています。
 文法や語彙の知識が身についてきたら、長文読解において、まずは1文ずつ文構造を正しく捉える力を鍛えていきましょう。そのためには、英文を読む際に、主語・動詞・修飾関係などに注意して読み解く訓練をすることが重要です。英文の構造や内容を把握した上で、音読練習をしていきましょう。何度も音読することで、構文の型が定着するだけでなく、英文理解のスピードを上げることにもつながります。次に、まとまりのある長めの文章の内容を正確に把握し、得た情報を整理するためには、誰が、どういった主旨の発言をしているのか、そのトピックに対して賛成なのか反対なのか、その内容は事実なのか意見なのか、などに着眼したり、要点を簡潔にまとめたりする練習が有効です。まずは今回の共通テストの復習をしっかり行った上で、模試をできるだけ多く受験し、実践形式での経験を重ねていきましょう。

2023年 1月 14日 ★☆★【国語】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】


【全体概観】

昨年から大問数は変化なし。設問数は2つ、マーク数は1つ増えた。第1問の評論。昨年に続き二つの文章を読ませる複数テクスト型の出題であった。第2問の小説は戦後初期の小説。問7は広告を掲載した説明的な資料を用いた新傾向の設問。第3問の古文は歌論『俊頼髄脳』。歌論の出題は2018年度センター試験『石上私淑言』以来5年ぶり。第4問の漢文は白居易の『白氏文集』からの出題であった。

大問数4題、各大問の配点50点。大問数は変化なし。設問数は2つ、マーク数は1つ増えた。

 第1問の評論では、ル・コルビュジエの建築における窓について異なる観点から論じた二種類の文章が【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】という形式で出題された。この形式は昨年同様。【文章Ⅰ】、【文章Ⅱ】ともに引用文が含まれており、【文章Ⅱ】には写真が含まれていた。問1の漢字問題では昨年の傾向が踏襲された。問2、問3、問4は【文章Ⅰ】から、問5は【文章Ⅱ】からの出題(傍線部問題)、問6は【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の関連を問う問題。生徒の発言の途中に空欄(X・Y・Z)が設けられ、空欄に入る発言を選ばせる形式であった。

 第2問の小説は、戦後派の梅崎春生「飢えの季節」からの出題で、引用箇所の字数は昨年より多く、設問数は2問増えた。問1~6は「私」の心情などを問うオーソドックスな設問で、まぎらわしいものも含まれている。問7は雑誌広告とそれについての説明文を掲載し、その資料による構想と考察から空欄補充の設問が用意されているが、広告という視覚的材料に目を奪われないように注意したい。

 第3問の古文の出典は歌論『俊頼髄脳』。本文は一つで、問4に『散木奇歌集』から和歌と詞書が引かれている。歌論の出題は2018年度センター試験『石上私淑言』以来。本文が一つで、設問に和歌の引用があるのは、2021年度第1日程や昨年度追試験と同じ。教師や生徒の発言に関する空欄補充問題の出題や、設問数が4つであることは昨年度本試験と同じ。語句と表現に関する問題、広い範囲に関する合致問題の出題は共通テストになって毎年度出題されているものである。

 第4問の漢文は著名な出典である『白氏文集』から白居易自身による、官吏登用試験の[予想問題]と[模擬答案]の組み合わせという珍しい形が出題された。語の意味、解釈、返り点の付け方と書き下し文の組み合わせ、内容説明など、例年の定番の出題に加え、比喩、空欄補入などが出題された。設問数7、マーク数9は昨年と同じであった。

難易度は国語全体としては、昨年並み。


【設問別分析】

【第1問】現代文(評論):柏木博『視覚の生命力―イメージの復権』、呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画―二〇世紀モダニズムの道程』 やや難
問1の漢字問題は、昨年同様、傍線部の漢字と同じ漢字を含むものを選ぶ問題が3題、傍線部の漢字(「行」・「望」)と同じ意味で用いられている熟語を選ぶ問題が2題出題された。問2は病床の正岡子規にとっての、ガラス障子越しに外の景色を眺めることの意味を問う問題。選択肢①がやや紛らわしい。問3はガラス障子が「視覚装置」だといえる理由を問う問題。問4は「ル・コルビュジエの窓」の特徴と効果を問う問題。問5は壁がもたらす「風景の観照の空間的構造化」によって住宅がどのような空間になるのかを問う問題。傍線部の表現は難解だが、直後で「この動かぬ視点」と言い換えられていることに着目できれば正解は自ずと決まる。問6は【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を読んだ後の「話し合いの様子」が示され、そこに設けられた三つの空欄に入る適切な発言を選ばせる問題だった。(ⅱ)の正解はやや選びづらい。

【第2問】現代文(小説):梅崎春生「飢えの季節」 昨年並み
問1は主人公の心情を問う設問で、傍線部前後の内容から容易に判断できる。問2も傍線部の前の「思えば戦争中~慈善事業である筈がなかった」をふまえれば比較的簡単に解ける。問3は会話部分の心理を問う設問で微妙な選択肢が並んでいるが、老爺に対する憎しみではない点から、②か⑤にしぼられる。「自分へのいらだち」ともいえないことから⑤になる。問4は傍線部冒頭の「それを」が「おそろしい結末」を指しているが、その結末の内容は明らかにされていないため、①が最適となる。問5は①以外の選択肢の末尾がいずれも過剰な感情が示されている点で誤りとなる。問6は比較的容易に解ける。問7は【資料】とそれに基づく【構想メモ】に基づく【文章】の空欄補充問題。(ⅰ)は③と間違いやすいが、「焼けビル」自体は「検討の精神」と無関係。(ⅱ)は電球もビルも変化していないことから②だとわかる。

【第3問】古文:源俊頼『俊頼髄脳』『散木奇歌集』 やや易
問1は本年も解釈の問題。(ア)の「やうやう」(イ)の「ことごとし」は重要古語。(ウ)の「かへすがへす」は現代でも使う語。問2の語句や表現の問題は共通テストになって毎年度出題されている問題。本年は全ての選択肢が文法や敬語に関係するものだった。問3は1〜3段落に関する説明問題。広い範囲に関する合致問題も共通テストでは毎年度出題されている。⑤は3段落2行目に合致。問4の教師や生徒の発言に関する空欄補充問題は昨年度に続く出題。設問が問4までで、小問三つに分かれているのも昨年と同じ。(ⅰ)は前句の解釈で正解できる。(ⅱ)(ⅲ)は本文に書かれていないことや判断の根拠が不明確なものを消去して考える。

【第4問】漢文:白居易『白氏文集』 やや易
形式上は、官吏登用試験の[予想問題]とその[模擬答案]の組み合わせというものであったが、内容的には標準的な文章といえる。問1は「由(よし)無き」「以為(おもへらく)」「弁ず」の語の意味の問題。問2は解釈、問3は返り点の付け方と書き下し文の組み合わせ問題。問6、7の全体に関わる内容説明問題など、例年の傾向に加え、問4で比喩の問題、問5で空欄補充問題が出題された。


【新高3生へ】

みなさんが来年受験する大学入学共通テストでは、複数素材(文章・条文・グラフ・表・図・写真・会話など)から問題が出される可能性があります。複数の素材を読解して設問を解くわけですから、時間制約の厳しい試験になるかもしれません。今年度は、大学入学共通テスト3年目となりました。共通テスト4期生のみなさんが解くのは、今までとは異なる素材が組み合わされた問題の可能性もあります。素材の組み合わせが変われば、印象は違ったものになるかもしれません。試験本番でどのようなタイプの問題にも対応できるよう、できるだけ多くの問題演習に取り組みましょう。ただし手に入る「共通テスト型」の問題は試行調査の問題を含めてもあまり多くないかもしれません。東進で2カ月に1度実施される共通テスト型の模試などをうまく利用してください。いろいろなパターンに数多く触れることが大切なので、力がついてから模試を受験しようという考えではなく、可能な限り、受験するようにしましょう。

 そして、複数素材の問題に慣れることよりも、もっと重要なことがあります。それは、「国語学習の基本は読解力をつけること」であるということです。
どんな出題であっても、「書かれている内容を理解し、設問要求に合致する選択肢を選ぶ」という国語の読解の基本姿勢は変わりません。また、特に古文・漢文においては、身につけなければ読むことすらできない知識(古文単語・文法力、漢文重要漢字・句法力)があります。これらをきちんと身につけ、読解に生かせるようにし、演習を積み重ねていくことが重要となります。

 また、みなさんの先輩が受験していた、センター試験の問題は良質なものが多く、最良の演習素材です。基本的な読解力を身につけたら、センター試験の過去問で読解力を鍛えることも良い訓練になるでしょう。現代文2題・古文1題・漢文1題の4題を80分で解く練習に加えて、模擬試験で複数素材の問題への対応力を付けていけば、どんなタイプの出題となったとしても、あわてることはありません。大学入学共通テストまであと1年、次のアドバイスを参考にして、計画的に勉強を進めていきましょう。

■現代文
 第1問では「論理的な文章」「実用的な文章」、またはこれらの文章を組み合わせた複数素材で出題される見込みです。抽象度が高く、論理力思考力が問われたセンター試験の過去問も利用しながら読解力・論理的思考力を鍛え、共通テスト型問題の模擬試験を活用して複数素材の問題への対応力を高めましょう。また、漢字・語彙といった知識事項に自信が無い人はこれらを固めることが先決です。漢字力・語彙力は、単に漢字問題や語彙問題で点を取ることにとどまらず、読解力を根本から支えるものになります。早い段階で漢字と語句の問題集を1冊ずつ仕上げ、それを文章読解の中で活用していきましょう。

 また、速く読み解く力を身に付けるためには、設問に先に目を通して問われることを予め理解しておき、本文を読みつつ問題がきたら解くという読解法(「読みつつ解く」)を日頃からトレーニングしておくのも一つの方法です。また、複数素材がある場合、それらをどの程度読み込む必要があるかなど(例えば、長い法律の条文があるが、設問からすると一部のポイントだけを理解すればよいなど)の判断も重要になってきます。そして、本文を読み進めるときはただ目で文字を追うのではなく、キーワードや筆者の主張に線を引く、関連資料のポイントに印をつけておくなど手を動かすことで解答の根拠をすばやく見つけられるように学習を進めていきましょう。

 第2問は、「文学的な文章」からの出題となります。試行調査の第1回では、小説とそれを元にした小説の組み合わせの問題、第2回では、詩とエッセイの組み合わせ問題が出題され、一昨年の共通テストでは、小説と、その小説に関する批評文(設問中)を含んだ問題、昨年の共通テストでは小説中の語句を歳時記や関連する俳句などと結び付け、より深い理解へと誘導する問題が出題されました。このように、「文学的な文章」においても複数素材の組み合わせでの出題が想定されますが、文学的な文章でも、本文を「客観的」に読むという読解法は同じです。感情移入をして主観的に読んでしまうと得点は安定しませんから、本文を客観的かつ正確に読み、事実関係と登場人物の心情をとらえ、選択肢を要素ごとに分けて丁寧に吟味する読解法を身につけていきましょう。また語句問題は「辞書的な意味」を答える必要があります。日頃から辞書を引く習慣をつけて語彙力を強化するとともに、詩・短歌・俳句の出題に備えて「国語便覧」などを読む習慣をつけましょう。なお、第2問では、文学評論が出題される可能性もあります。その場合は、論理的な文章の読解の仕方をベースに解きましょう。

■古文・漢文
 大学入学共通テストの古文(第3問)・漢文(第4問)の問題は、現代文に比べると旧来のセンター試験との違いは少ないようです。問題演習にセンター試験の過去問を積極的に利用しましょう。古文や漢文は知識・基本事項の比重が大きく、身につけた知識が点数に結び付きやすい科目です。古文であれば、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法を、漢文であれば、返り点・重要句法・漢字の用法や読み・重要語など、土台となる知識の定着度が大きなカギを握ります。これらをできるだけ早い時期にマスターすることが大切です。繰り返し確認をしながら、遅くとも夏休みが終わるまでに知識を定着させましょう。知識を身につけた後は、それを駆使してできるだけたくさんの問題を解き、解法の訓練を重ねること、そして、複数素材が問題文や設問文に入ってくる共通テスト型の問題演習を模試などを利用して数多く行うことが必要です。安定した土台の上に、正解を素早く判断できるように訓練を重ねることで、常に高得点をとる力を身に付けることができるようになります。

 夏以降は、解法と時間配分の訓練を繰り返して下さい。複数素材を扱った共通テスト対応型の模試は実戦演習に最適です。模試は、学習の進捗度・定着度を測定・認識するという意味で大変重要です。自分の学習進捗度合いが計画通りに進んでいるかを客観的に判断するためにも、「全国統一高校生テスト」を含めて隔月で年6回行われる「共通テスト本番レベル模試」を連続して受験していくことで、着実に実力をのばしていきましょう。

 

【新高2生へ】

大学入学共通テストの問題を解いてみた感想は、いかがでしたか?「国語はなんとかなる」と思っていた人は、ボリュームの多さに圧倒されたかもしれません。令和7年度の大学入学共通テストは国語の試験時間が10分延び、90分となります。また、近代以降の文章がいままでの2問から1問増えて3問110点に、古典が2問90点(古文・漢文各45点)となることが想定されています。

 大学入学共通テストは今まで以上に時間制約の厳しい試験になる可能性がありますが、ボリュームやイメージしていた国語の問題との違いに圧倒されたとしても、問題文を読み、内容を理解して設問に答えることには変わりがありません。国語力(読解力と語彙力)を鍛えつつ、与えられた課題を冷静に判断し、問題を解くために必要な情報を適切に読み取る力を養っていきましょう。読解力の定着にはある程度の時間が必要なので、他教科との学習バランスを考えてベースとなる国語力は高2生のうちに身につけましょう。

大学入学共通テストで高得点を取ることは志望校合格の必要条件です。次のアドバイスを参考にして、今から学力大幅アップに向けて、計画的に勉強をすすめていきましょう。


■現代文
 現代文で高得点をとるための大前提は、本文と設問文の正確な「読み」です。漢字や語句などの知識の習得は、高2の段階での大切な学習の一つです。単に表面的な知識を増やすのではなく、文章を読解していく中で、生きた形で語彙力をつけることを心がけてください。

 次に、速く読む訓練を積んでください。解答時間に余裕のない大学入学共通テストに対応するためには、一定以上の読解速度が必要です。これは一朝一夕には身につきません。早いうちから意識して速読する習慣をつけておいてください。また、「論理的な文章」と「文学的な文章」に得意不得意のある人は、安定した成績を取るためにも、早い時期に苦手な分野を集中して学習し、克服しておくようにしましょう。なお、大学入学共通テストは「実用的な文章」からも出題されますので、国語の勉強だけでなく、新聞やいろいろなジャンルの文章を読むことが結果的に試験対策にもつながります。積極的に読書の習慣を身につけましょう。

 また、模試や過去問などを解いた後は必ず復習する習慣をつけましょう。現代文を解きっぱなしにしていては実力はつきません。間違えた箇所の原因を知り、次に同じミスを繰り返さないようにしていくことで、次第に実力がアップしていきます。いずれにせよ、今まで現代文に対して正面から取り組んでいなかった人は、現代文に対する意識を改革してください。大学入試の現代文は、なんとなく解いていては高得点を取ることはできないません。きちんと対策を立てていく必要があるという認識を持つこと、そしてそのための基礎力をこの一年間で養成しましょう。

■古文・漢文
 まだまだ十分に時間はあるのですが、新高2生の諸君には、できるだけ早く「受験勉強としての古文・漢文」をスタートしてほしいと思います。学校の授業でやっているからOKではなく、「受験勉強としての古文・漢文」の意識を持つことが大切です。

 古文・漢文は、現代文に比べると、土台となる知識の比重が大きい科目です。古文であれば、用言の活用と助動詞・助詞を中心にした解釈のための古典文法、500語ほどの重要な古文単語、古典常識、敬語法などです。漢文であれば、返り点をたどりながら本文を読むスピードと書き下し文にできる訓読の力、使役・受身・反語・疑問・否定といった句法の力、漢字の読みや用法の知識などです。もちろん、これらの知識を蓄えることが最終目標ではなく、知識などを駆使して問題を解く力をつけることが最終的な目標です。知識の土台固めは反復して勉強する時間が必要ですので、早く始めた者が勝ちなのです。特に漢文は、「短期間で高得点が取れるようになる」科目ではありますが、それゆえ後回しにしておいて、結局最後まで点数が伸びないという受験生が少なからずいます。高2のうちに、早めに知識をマスターしてしまうつもりで始めましょう。問題演習はまだ焦る必要はありませんから、とにかくこの1年間は、受験勉強本格的始動のための土台固めと位置づけて下さい。

 大学入学共通テストに対する実戦的な対策としては、6月と10月に実施される「全国統一高校生テスト」があります。6月の「全国統一高校生テスト」では、令和7年の共通テストに対応した実用的文章を出題します。令和7年の共通テストの試作問題と同形式の問題が出された場合、実践的な訓練を通じて慣れていくことが大切になってきます。真剣に問題に取り組む模試の時間は、学力を伸ばす絶好の機会です。自分の現時点の力を知るためにも、学力を伸ばすためにも模擬試験は毎回欠かさず受験するようにしましょう。

2023年 1月 14日 ★☆★【倫理/政治・経済】大学入学共通テスト 解答速報

【解答速報】

【全体概観】

設問数、マーク数は昨年と同じ32。大問数も昨年と同じ7。

大問数は昨年同様、7題構成となった。第1~4問が「倫理」の第1~4問からそれぞれ抜粋、第5~7問が「政治・経済」の第2・3・4問からそれぞれ抜粋されている。昨年同様に会話文や資料文を読ませる設問が多く、読解に時間がかかる。リード文が置かれた出題はなく、ほぼすべての大問で会話文ベースで出題が行われた。
 第2問や第3問は、与えられた資料文の内容を十分に理解しないと答えられない問題が出るなど、解答に時間がかかる大問になっている。一方第6問や第7問は、資料などが多く出ているものの、オーソドックスな知識があれば極端に時間がかからない出題になっている。全体を通して見ると、問題のテーマは基本的なものが多いが、単に知識を使うだけでは解答を出すのは難しい出題だった。知識と知識を組み合わせて解答したり、論理的に思考して粘り強く解答にたどり着くことが求められている設問も存在しており、時間内に解答するためには、時間がかかる問題なのか、時間をかけなくてすむ問題なのかを見極める力が重要となっている。
 


【設問別分析】

【第1問】源流思想
生徒の会話文を基として、資料文や先生との会話から出題された。内容自体はオーソドックスなもので、小問4問中1問はセンター試験型の4択問題であった。問3・4は資料読解をベースとした出題だが、一定の知識が要求される設問であった。

【第2問】日本思想
3部に分割され、それぞれ生徒および先生との会話、および資料文という形がとられた。オーソドックスな4択問題は4問中2問であった。問4は三木清『読書と人生』を資料文に用いた出題が特徴的だが、この設問については求められているのは読解力であり、知識は必要とされない。それ以外の問題は繰り返し問われてきたものばかりである。

【第3問】西洋近現代思想
昨年と同様、リード文がない形式になっている。会話文などの空欄補充を求める設問が4問中3問であった。資料の読解問題が1問置かれていたが、他の設問は倫理分野の知識がないと正答にたどりつきにくい出題であった。

【第4問】青年期・現代社会分野
問3はリベラリズムと社会契約について思索したアメリカの哲学者ロールズの作品が資料文として使われており、読解力による対応が必要な斬新な素材であった。他の設問は青年期・現代社会分野の出題として頻出の事項であった。難易度が高い出題ではなかったが、会話文・資料文の量が多かったため、受験生は時間が圧迫された可能性が高い。

【第5問】「政治・経済」の学習
地方・産業構造・金融政策と国民経済の3側面から現在の日本が直面する問題について問うており、文字量が多く、読み取りのスピードが求められる出題となっている。その中で問3は地方公共団体、NPO法人、中小企業に関する知識が要求されるなど、時事的内容よりも基本的事項の理解が問われる内容であった。また問4は扱っている事項を知らなくても解答できるが、数的処理についての理解を問う内容となっている。

【第6問】法学部の模擬授業
昨年に続き、基本的な知識を問う問題の比率が高い。その中で問5は成年年齢引き下げに関連した少年法改正に関して出題された。身近なテーマなので、落ち着いて思考すれば正解にたどり着ける内容になっている。同様に問6も判例文と設問文を落ち着いて読んでいけば正解にたどり着ける。難解な写真・イラスト・グラフなどがなく、出題内容としては頻出の事項を押さえておくことで時間をかけずに解答できる。

【第7問】SDGsの意義と課題
問1~3がSDGsについて、経緯、条約、国際機関の仕組みに関する問題である。問4は各国の対外債務について、メモと表から正答を選ぶ問題。とりたてて専門知識がなくても正解にたどり着けるが、組み合わせで正答1つを選ぶため、落ち着いて読み取る必要がある。


【新高3生へ】

思考力重視の共通テスト
 3回目を迎えた「大学入学共通テスト」は、「思考力」「判断力」を測る「考えさせる問題」が中心となり、設問形式や構成、資料の使われ方などもセンター試験とは大きく変わりました。知識により解くタイプの設問も含まれていますが、この基本的傾向は変わっていません。
 その特徴として、第一に、各設問中に長・短の文章を設け、文章内容の把握力・要約力を問う設問や、関連性・因果関係を判断させる設問が見られます。従って、文章を多く読み、内容をいかに早く掴めるかが勝負となります。これは普段から文章を読みこなし、内容を理解することが求められているとも言えます。
 第二に、空欄問題において、空欄に当てはめるものが、語句だけでなく文章など多岐にわたっています。しかも複数の空欄すべてを適切に埋めることで正解になるので、断片的理解では得点できない仕組みになっています。
 以上の特徴を持つ「大学入学共通テスト」の対策としては、基本的概念を理解すると同時に、現在に至る歴史(主に戦後史)的つながりと、グローバル化の結果としての地理的広がりとを理解する必要があります。さらに、それらに加えて現代における諸課題の文化的・宗教的あるいは倫理的な側面の理解も欠かせません。つまり、現在の社会問題を広い視野で総合的に考える習慣を身につけることが必要です。また、文章を読んでその趣旨を把握する訓練をしなければなりません。

問題演習で実戦を重ねる
 自分では一応理解したつもりなのに、いざ問題を解く段階になると、選択肢の正誤がうまく判定できないという受験生の声を毎年聞きます。そうした受験生は過去問演習が不足しているはずです。「倫理、政治・経済」では、思想や制度の理解におけるありがちな誤解が中心になって誤文がつくられています。したがって、そうした「誤解」をつぶすために、実際の過去問にあたって、どこに誤りがあるから誤文なのかをひとつひとつ分析し、理解していく作業が大切になります。過去問の少ない共通テスト対策として、年間6回実施される東進の「共通テスト本番レベル模試」は、年間を通して共通テストと同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。定期的な模試受験により、自らの学習到達度および思考力の深まりを測る物差しともなります。積極的に受験して、ライバルに差をつけてください。